今週より初夏の北海道を舞台にしたスペシャル企画を3週連続でお届けします。第1週は「自然の音が彩る苫小牧組曲の音楽会」。ヴァイオリンの成田達輝さんと山根一仁さん、トランペットの児玉隼人さんという北海道出身の演奏家のみなさんに、苫小牧を象徴するさまざまな音を採集してもらい、これらの音を演奏と組み合わせて「苫小牧組曲」を作りあげました。
「苫小牧組曲」第1番は「港町」。映画「ロシュフォールの恋人たち」のために書かれたミシェル・ルグランの名曲「キャラバンの到着」が、苫小牧のカモメの鳴き声やフェリーの汽笛の音に彩られます。児玉隼人さんが汽笛の音をオーケストラの金管セクションのサウンドに似ていると話していたのが、おもしろかったですね。秀逸なたとえだと思いました。
「苫小牧組曲」第2番は「名馬の産地」。ヴァイオリンの弓に使われるのが馬のしっぽの毛。成田さんと山根さんのふたりのヴァイオリニストが、馬のいななきや足音を採集してくれました。意外とレアな馬のいななきですが、無事に採集することができました。西部劇の名作、映画「荒野の七人」のメインタイトルに、苫小牧の馬のいななきと足音が織り込まれます。楽器対抗いななき選手権では、ファゴットがまさかの大活躍。
「苫小牧組曲」第3番は「野鳥の宝庫」。朝3時起きで採集したツツドリ、ウグイスらの野鳥の鳴き声が用いられます。曲は葉加瀬太郎さんの「エトピリカ」で始まり、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の第2楽章へ。エトピリカとは海鳥の名だったんですね。ベートーヴェンの「田園」には、フルートがナイチンゲールを、オーボエがウズラを、クラリネットがカッコウを模倣する場面があります。自然散策を好んだベートーヴェンらしい趣向ですが、今回はさまざまな楽器が加わって、さらにたくさんの野鳥たちに参加してもらいました。最後はエトピリカも加わっていましたね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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