今年5月に逝去した作曲家・ジャズピアニストの大野雄二さんは、映画やテレビ、アニメなどの分野に数々の名曲を残しました。なかでも代表作と言えるのが「ルパン三世のテーマ」。1977年のテレビアニメ「ルパン三世」で用いられて以来、さまざまなアレンジによって親しまれてきました。今回はルパン三世さながらの鮮やかな手口で世界の音楽ジャンルを盗み、さまざまなアレンジによる「ルパン三世のテーマ」をお楽しみいただきました。
最初に登場したのは鈴木優人さん。ルパン三世の祖父、怪盗アルセーヌ・ルパンの国フランスから、バロック期の舞曲のスタイルを盗みます。バロック期の組曲の基本舞曲であるクーラントとジーグのスタイルにより、チェンバロ独奏で「ルパン三世のテーマ」を演奏してくれました。バロック音楽との出会いから、ルパン三世が雅に生まれ変わります。なんというカッコよさ!
続いて、豊田耕三さんが盗んだのはアイリッシュ音楽のスタイル。アイルランドのダンス音楽の特徴的なリズムであるジグとリールを組み合わせます。このジグ(jig)は8分の6拍子。バロック期の舞曲ジーグ(gigue)も8分の6拍子です。両者の関係は少々複雑なのですが、共通の祖先から枝分かれしたものと考えればよいでしょう。アイリッシュ音楽風の「ルパン三世のテーマ」は心地よく、気分をリフレッシュしてくれます。
3番目は山根一仁さんがハンガリーのロマ音楽を盗みます。ブラームスのハンガリー舞曲など、クラシック音楽にはロマ音楽を用いた例がいくつもあります。ロマ音楽風「ルパン三世のテーマ」は情熱的。原曲に含まれる愁いの要素が一段と際立っていました。
上妻宏光さんが盗んだのは日本の伝統音楽。歌と三味線、尺八、和太鼓を用いた「ルパン三世のテーマ」です。巨大な三味線「豪絃」にはびっくり。まるでコントラバスみたいな三味線で迫力があります。上妻さんの歌も味わい深かったですよね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

公式サイト