今週はピアニストのマルティン・ガルシア・ガルシアさんをお招きして、母国スペインの音楽を演奏していただきました。今回紹介してくれた作曲家は、マヌエル・デ・ファリャ(1876~1946)とフェデリコ・モンポウ(1893~1987)のふたり。ファリャは今年生誕150年を迎え、一段と注目度が高まっている作曲家です。一方、モンポウは1987年まで存命でしたので、比較的新しい時代の作曲家です。
ファリャはアンダルシア地方の港町カディスの出身。この地方の伝統音楽を題材に用いながら、独自の作風を築きました。バレエ音楽「恋は魔術師」(ガルシア・ガルシアさんは原題に従って「呪われた愛」と紹介してくれました)や、バレエ音楽「三角帽子」がよく知られています。いずれもわたしたちが耳にして、いかにもスペインらしいと感じるような作風です。
「恋は魔術師」のなかでも広く親しまれているのが「火祭りの踊り」。原曲はオーケストラのための作品ですが、ピアノ独奏版もよく演奏されます。この曲は作曲者と親交のあった往年の大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインが好んでアンコールに弾いたことで、絶大な人気を獲得しました。
モンポウはカタルーニャ地方のバルセロナ出身。カタルーニャ地方出身の芸術家といえばガウディやダリ、ミロなどが有名ですが、偉大な音楽家もたくさん輩出しています。モンポウ、アルベニス、グラナドスといった作曲家に加えて、チェリストのカザルス、歌手のカレーラスなどなど。
モンポウの作品の大きな特徴は、簡潔さや静謐さにあると言えるでしょう。独特の響きにより、しばしば瞑想的で内省的な雰囲気が醸し出されます。モンポウが好んで用いたのがメタリック・コード。幼少期に祖父の鐘鋳造工場で耳にした響きがもとになっているといいます。ガルシア・ガルシアさんの解説にあったように、不協和音が含まれているのですが、なぜかノスタルジーを喚起するところがおもしろいと思いました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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