今週はジョン・ウィリアムズ作曲の映画音楽の名曲をたっぷりお楽しみいただきました。原田慶太楼さん指揮東京フィルの演奏、本当にすばらしかったですよね。明るく華やかなサウンドで、なかなかこれだけ見事な演奏は聴けるものではありません。
特に最後の「スター・ウォーズのテーマ」はまれに聴く快演だったのでは。映画「スター・ウォーズ」の第1作が1978年に日本で公開された際、この曲は大ブームを巻き起こしました。以来、名曲コンサートやファミリー向けコンサートでしばしば演奏される人気曲になりました。でも、意外とこの曲の演奏って難しいんですよね。ブラス・セクションの輝かしさやキレのあるリズム感がなければ、作品本来の高揚感が伝わってきません。
その点、原田慶太楼さんの指揮はジョン・ウィリアムズ本人にお墨付きをもらっているだけあって、「本物感」がちがいます。パワフルでゴージャス。これぞ、ジョン・ウィリアムズのサウンドです。
原田さんによれば、ジョン・ウィリアムズの音楽では指揮棒に即座に反応してオーケストラが音を出すことが大切なのだとか。指揮棒から少し遅れてズシンと音が出てくるようなクラシック音楽の重厚なサウンドではなく、棒の打点とジャストのタイミングで音が鳴るような鋭敏さが欲しいといいます。やはり切れ味が大事なのでしょう。
「シンドラーのリスト」の解説もとても興味深いものでした。ただ流れるような美しいメロディを作るのではなく、メロディの合間に低音をさしはさんで、引きずられるような表現を加える。これで曲にぐっと奥行きが感じられるようになります。アルトフルートの深みのある音色を活用したオーケストレーションも効果的。巨匠ならではの工夫があちこちに凝らされていることがわかります。
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映画音楽の巨匠 ジョン・ウィリアムズの音楽会
高嶋ちさ子のわがまま音楽会~粘着質な作曲家にダメ出し編
今週は高嶋ちさ子さんが、大作曲家たちに次々と「ダメ出し」をしてくれました。高嶋さんによれば、作曲家は「ダメ男だらけ」。いやー、これには参りました。
まず、やり玉に挙げられたのはベートーヴェン。コーヒーを入れるためにいちいち豆の数をきちんと数えていたという逸話は、当時の資料にも記録されています。コーヒー好きなら気持ちがわかる!? でも、これを「粘着質」とズバッと切るのが高嶋さん。
あの有名な「運命」のエンディングも「しつこすぎる」ということで、大幅にカットされてしまいました。そう、「運命」って、なかなか終わらない曲なんですよね。「そろそろ、終わるのかな?」と思わせておいて、また盛り上げる。「今度こそ、終わるかな?」と思うと、やっぱり終わらない。そうやって何段階もクライマックスを積み上げていくところがこの曲の魅力だと思うのですが、「昔の人はヒマだったから」と一刀両断されてしまいました。笑。
ドイツ音楽におけるベートーヴェンの後継者ブラームスも、高嶋さんによれば「粘着質なところも受け継いでしまった」。クララへの想いを曲に込めたり、作品完成に時間がかかったりしてしまったり、ブラームスって純粋さゆえに決して器用な人ではなかったんでしょうね。交響曲第1番にひそかに込められた「クララへのあいさつ」、すごく素敵な着想だと思うのですが、こういうのって女性の側から見ると、ドン引きしたりするんでしょうか……。
最後はチャイコフスキーも「ダメ出し」されてしまいました。チャイコフスキーが自由に作曲活動に打ち込めたのは、大金持ちのメック夫人に長年経済的に援助してもらったおかげ。しかしメック夫人が資産の一部を失って援助を打ち切ると告げると、チャイコフスキーはすっかり失望し、ふたりの信頼関係は壊れてしまいます。お金でつながる人の縁って、難しいものですね。
JUJUと幹二のおしゃべり音楽会
今週はJUJUさんの歌、そして石丸さんのサックスをたっぷりとお楽しみいただきました。おふたりの共演、とてもいい雰囲気がありました。声とサックスの音色の融け合いがなんとも言えません。
JUJUさんのニューヨーク話もおもしろかったですよね。18歳で単身渡米する大胆さにも感心させられますが、そこで怖さや不安を感じるよりも、ワクワクしたというのがすごい! 「ニューヨークに行けばなんとかなる」という気持ちを若気の至りとおっしゃっていましたが、こうして実際に道を切り開くことができたのですから、非凡というほかありません。
JUJUというお名前の由来が、ウェイン・ショーターのアルバム「JUJU」にあったというお話も印象的でした。「JUJU」を一日中聴いていた時期に、たまたま街でおじさんが売っていたカセットが「JUJU」だった。そんな運命的な出会いがあるんですね。もしそこでこのカセットに出会っていなかったら、どうなっていたのでしょう。
4曲とも名曲でしたが、やはり最後の My Favorite Things は耳に残ります。ジャズのスタンダードとしてさまざまなアーティストによってカバーされてきた曲ですが、もともとはミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」のなかの一曲。ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」では、ジュリー・アンドリュース演じるマリア先生が、雷を怖がる子供たちに向けて、この曲を歌います。だから歌詞で歌われるフェイヴァリット・シングスは「子猫のひげ」だったり「ポカポカの手袋」だったり「リンゴのパイ」だったり、子供たちが好きそうなものが並んでいます。でも、こうしてJUJUさんの歌で聴くと、同じ歌詞からまったく違った情景を想像しませんでしたか。まるで、若い女性が気持ちが落ち込んだときに自分を励ましている歌のように聞こえてきます。
歌声の秘密を知る休日
今週はまったくジャンルの異なる3人の歌手、平原綾香さん、岡本知高さん、木津かおりさんをお招きして、発声法やトレーニングについて語っていただきました。
ポップス、クラシック、民謡。最初のメドレーで、三者三様の歌い方の違いがよく伝わってきました。よく「人間の声は最高の楽器」といいますが、声は使い方によって、まったく違った音色や表現を生み出すことができます。クラシックだけをとっても、声域や声質で、声の種類は何種類にも細分化されています。岡本知高さんはソプラニスタ(男性ソプラノ)と呼ばれる稀有な存在ですので、いっそうその違いが際立っていました。
また、歌唱法をどう習得するかについても大きな違いがあります。平原綾香さんが独学だというのはびっくり。まねをするところからスタートしたといいますが、並外れた研究熱心さがあってこそでしょう。木津かおりさんのように、楽譜を使わずに口伝で学ぶというのは民謡ならでは。一見、非効率にも感じますが、よく考えてみれば楽譜に記したところで、同じ楽譜からさまざまな解釈が生まれるもの。「書き記せないことまで伝達できる」という点で、口伝には口伝の利点があるのでしょう。「こぶしのコツは咳をするみたいな感じで」という説明がおもしろかったですね。やってみると、わかるような、わからないような!?
岡本知高さんが歌った「誰も寝てはならぬ」は、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」の名アリア。本来は王子カラフ役のテノールが歌います。男性ソプラノによる歌唱をはじめて聴きましたが、意外と違和感がありません。王子というよりはまるで王女の歌。ドラマティックでした。
「Love Never Dies ~愛は死なず~」はミュージカルの巨匠ロイド=ウェバーの作曲です。平原さんの伸びやかな声、そして声の表現力の多彩さに圧倒されました。