今週はジャンルの境界線を越えた音楽をテーマに、世界最高峰の名歌手サラ・ブライトマン、箏のLEO、ビートボックスのCOLAPSのみなさんをお招きしました。まさかの豪華共演の実現です!
サラ・ブライトマンといえば、クラシックとポップスを融合させた「クラシカル・クロスオーバー」の第一人者。とくに有名なのは世界的大ヒットになった「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」でしょう。もともとはイタリアのオペラ歌手ボチェッリが歌っていた曲でしたが、サラ・ブライトマンとのデュエットによって人気に火が付きました。今回、その「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」を番組のために歌ってくれたのですから、感激せずにはいられません。甘くのびやかなエンジェルボイスは健在! ステージに立った瞬間から、特別なオーラが発せられているように感じました。
さらに今回はビートボックス世界王者のCOLAPSさんも出演。COLAPSさんはパリ出身で、現在は東京を拠点に活動しています。日本文化への興味からLEOさんの箏との共演が実現しました。人間技とは思えないほど多種多様な音を自在に用いた演奏には、圧倒されるばかり。とくに舌を使ったドラムのハイハット! あんなに金属的な音を人体から出せるなんて信じられません。LEOさんとの共演では電子音のようなサウンドと鳥の鳴き声のような自然の音を箏の音色に巧みに融合させて、独自の世界を作り出してくれました。
イングランド民謡「スカボロー・フェア」では、サラさんとLEOさんが共演。もともとはギターで演奏されるパートが箏で演奏されましたが、やはり伝統曲だけあって、洋の東西を超えて伝統楽器との相性がよいなと感じました。ありとあらゆるアーティストたちによって演奏されてきた名曲に、またひとつ新たな名演が加わったように思います。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)