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初夏の北海道・苫小牧③アイヌ音楽に影響を受けた巨匠・伊福部昭の音楽会

投稿日:2026年07月11日 10:30

 今週は初夏の北海道を舞台にしたスペシャル企画の第3弾。釧路に生まれた偉大な作曲家、伊福部昭(1914~2006)の音楽を特集しました。
 伊福部昭は9歳の頃に音更に移り、アイヌの人々と親しく交流します。
ここで接したアイヌの音楽や踊りは、後の作曲家人生に大きな影響を与えることになりました。独学で作曲をはじめ、北海道帝国大学農学部を卒業後、チェレプニン賞に応募した「日本狂詩曲」が第1位を獲得。北海道では林務官として勤務していましたが、戦後、東京に移り音楽に専念します。管弦楽曲や器楽曲、さらには300作を超える映画音楽を手がけるなど、旺盛な作曲活動をくりひろげました。また、名著「管絃楽法」はこの分野における古典として知られています。
 一曲目に演奏されたのは、「ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲」第1楽章より。1948年に作曲され、その後、改稿が繰り返されて1971年に決定稿が作られました。映画「ゴジラ」と共通のテーマが用いられています。どこか懐かしさを感じさせる民謡のような旋律、力強く荒々しいリズム、湧きあがるような生命力。伊福部昭の音楽の特徴がよく伝わってきます。
 続いて演奏されたのは「土俗的三連画」の第1曲「同郷の女達」、第3曲「パッカイ」。1937年に書かれた初期の代表作です。チェレプニン賞を得た伊福部は、来日したチェレプニンの招きにより横浜のホテルに滞在し、一か月にわたって作曲を学びました。レッスン代どころか滞在費も食費もすべてチェレプニンにより賄われ、「払おうにも当時の月給が65円で、部屋代が一晩45円ではどうにもならなかった」といいます。金の心配は一切するなというチェレプニンに対して、伊福部は作品の献呈でお返しをしたいと申し出て、師を喜ばせました。こうして書かれたのが「土俗的三連画」です。
アイヌ文化からの影響とチェレプニンとの出会いが、伊福部独自の音楽世界に結実しました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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初夏の北海道②アイヌ音楽を楽しむ音楽会

投稿日:2026年07月04日 10:30

 今週は初夏の北海道を舞台にしたスペシャル企画の第2弾。いずれも北海道出身の音楽家であるヴァイオリンの成田達輝さん、山根一仁さん、トランペットの児玉隼人さんとともに、北海道の白老町にある「ウポポイ」を訪れました。
「ウポポイ」はアイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンター。長い歴史と自然のなかで培われてきた
アイヌ文化をさまざまな角度から伝承・共有するとともに、人々が互いに尊重し共生する社会のシンボルとしての役割を担う空間です。
「ウポポイ」とは、アイヌの言葉で「大勢で歌うこと」を意味するのだそうです。ウポポイ伝承課のチャッケさんが、いろいろな伝統楽器や歌、踊りを紹介してくれました。
 アイヌの伝統楽器ムックリは口琴の一種。セタレさんの即興演奏がすばらしかったですよね。小さな弁が振動する音を口で共鳴させるという説明がありましたが、シンプルな作りにもかかわらず、想像以上に表現力が豊かでびっくりしました。低音のパルスなど、かなり不思議な音が出てきます。チャッケさんが「シンセサイザーみたいな」と形容していましたが、まさしく! 児玉さんが「トランペットと口の使い方が似ている」と指摘していたのが、おもしろいと思いました。
 「杵つき歌 イウタ ウポポ」は、輪唱のような音の重ね合わせから、生き生きとした表情の音楽が生み出されます。成田さん、山根さん、児玉さんの3人がとても楽しそうにチャレンジしてくれました。
 ウポポイのみなさんによる「伝統の踊り イヨマンテ リㇺセ」では、独特の発声法ホロㇽセを用いた力強い響きに圧倒されました。まるで鳥の鳴き声のよう。
 「座り歌 ウポポ」は、シントコと呼ばれる漆器の蓋を叩きながら歌われ、ここにも輪唱の要素がありました。成田さん、山根さん、児玉さん、石丸さんも加わった即興のコラボが実現。これは熱かったですね。終わった後のみなさんの達成感にあふれた表情が印象的でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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