今週は古くからある機器や楽器を用いて、新しい音を生み出す二組のアーティストをお招きしました。オープンリール式テープレコーダーを楽器として用いるオープンリールアンサンブルのみなさん、そして日本の雅楽で用いられる伝統楽器の笙を自在に操るカニササレアヤコさん。ともに意外性にあふれた奏法と楽曲を披露してくれました。
オープンリールアンサンブルの「録音再生機器を楽器として使う」という発想には感嘆せずにはいられません。今でこそデジタルレコーディングが当たり前になりましたが、アナログレコードの時代にはプロ用の音響機器としてオープンリール式テープレコーダーが広く使われていました。編集の際にはテープを切り貼りしていたのです。オーディオ好きであればオープンリールに憧れを抱いていた方も少なくないはず。マニアのなかにはカセットテープでは飽き足らず、家庭用のオープンリールを導入する人もいました。
そんな懐かしいオープンリールを楽器として使って生まれた音楽は不思議なほど新鮮です。レトロフューチャーなテイストに魅力を感じます。テープタップ(磁跳打)、テープオルガン(磁盤)、テープボウイング(磁楽弓)といった多彩な奏法は、くらくらするほど独創的。「磁楽弓三重奏」と「Magnetik Phunk」、どちらも本当にカッコよかったですよね。
カニササレアヤコさんの笙の音色にもシンセサイザーを思わせる未来的なイメージを感じます。古くからある楽器ですが、リードは金属製なのだとか。タンギングもできるとは知りませんでした。「Untitled」のようなミニマル・ミュージックのスタイルが、よく似合います。笙でもこんな軽快な表現ができるんですね。「糸竹のアリア」は笙とチェンバロのひとり二重奏。チェンバロのキラキラとした音色にも金属的なイメージがあって、笙と無理なくなじみます。バロック音楽を思わせる優雅な曲想に心がなごみました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

公式サイト