月別アーカイブ

  • mixiチェック

フルートの可能性を広げる音楽会

投稿日:2026年06月06日 10:30

 今週は多久潤一朗さんをお招きして、フルートの可能性を広げる遊び心いっぱいの新奏法を披露していただきました。柔軟な発想と驚くべきテクニックの数々に、ただただ圧倒されます。
 フルートの可能性を広げる奏法①は「縦にして吹く」。もともとフルートという言葉は、縦笛にも横笛にも使われていました。バロック音楽の時代には、縦笛のリコーダーと区別するために、横笛のフルートのことを「フラウト・トラヴェルソ」、すなわち「横向きのフルート」と呼んでいたのです。今でも、たとえばバッハ・コレギウム・ジャパンのようなオリジナル楽器のオーケストラで使われるフルートのことは「フラウト・トラヴェルソ」と呼びます。だったら、現代のフルートを縦にして吹いてみてもいいのではないか。そんな多久さんの自由な発想から、縦吹きのフルートが生まれました。どうやって息を吹き込むのかと思いましたが、特製の縦吹き用の頭部管を使うんですね。曲は久石譲作曲の「もののけ姫」より「アシタカせっ記」。尺八を思わせるような、縦フルートでしかできない表現を聴かせてくれました。
 奏法②は「声を出しながら吹く」。まさか、そんなことが可能だとは! 名曲「スタンド・バイ・ミー」をバスフルートとコントラバスフルートを演奏してくれました。口で吹きながら鼻で歌う離れ技には唖然。声とフルートで和音を作るという技法もすごすぎます。
 奏法③は「穴があいている他のものを吹く」。多久さんの定義によれば、フルートとは「穴に息を吹き込んで音を出す楽器」。フルートの概念を拡大し、ちくわ、ビン、おちょこ、けん玉、スプーンまでもがフルートになってしまいます。ちくわの音色が意外と澄んだきれいな音で、爽快感がありました。
 奏法④は「ジャンルに合わせて音を変える」。おなじみの「ボレロ」がジャズ、フラメンコ、サンバなどいろいろなスタイルに変身します。痛快な「着せ替えボレロ」でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

  • mixiチェック
コメントはこちらからどうぞ

ニックネーム
コメント

※必ず注意事項をお読みの上、送信して下さい。

フォトギャラリー

フォトギャラリーを詳しく見る≫