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鈴木雅明によるバッハのシンフォニアを楽しむ音楽会

投稿日:2026年04月18日 10:30

 今週は鈴木雅明さん指揮バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハの演奏をお楽しみいただきました。先週、鈴木優人さんがベートーヴェンの交響曲に対するバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの影響を解説してくれましたが、今回は父バッハへと遡ります。バッハには交響曲の前身ともいうべき「シンフォニア」と題された作品がいくつもあります。
 鈴木雅明さんのお話にあったように「シンフォニア」という語は、イタリア語でまさしく「交響曲」のこと。この言葉はさまざまな意味で使われており、古い時代のオペラやオラトリオ、カンタータといった大規模な声楽曲における器楽合奏の部分(典型的には冒頭の曲)を「シンフォニア」と呼びます。今回の例ではバッハのカンタータ第12番および第42番の第1曲が「シンフォニア」でした。
 器楽の曲を「シンフォニア」と呼ぶのは、裏を返せば声楽が作品の中心になっていたということでもあります。声楽曲であれば歌詞がありますので、音楽がなにを表現しているのか分かりやすいですが、器楽曲には言葉がありません。そこで、作曲家は強弱だったり、ソロとトゥッティ(全合奏)だったりといったさまざまな対比によって、音楽を組み立てるようになりました。これが発展して、先週のベートーヴェンの交響曲のような、器楽のみによる大規模な音楽が作られるようになったわけです。
 バッハのヴァイオリン協奏曲第1番を聴くと、ソロとトゥッティの関係性がよくわかります。まずは全員がひとつになって音楽がはじまり、やがてヴァイオリンのソロが始まると、他の奏者は伴奏に回ってソロと掛け合いをします。後の時代になるとソリストとオーケストラの役割ははっきり分かれるのですが、バロック時代の協奏曲はずいぶん違った書き方になっています。実はモーツァルトの協奏曲も、本来はソリストが合奏部分でもオーケストラといっしょになって弾いていたと考えられます。鈴木雅明さんは、現代ではほとんどのソリストが合奏部分を弾かないと嘆いていましたが、いつの間にそうなったんでしょうね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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