今週はディズニー名曲をフルートのCocomiさん、トランペットの児玉隼人さん、ヴァイオリンの新美麻奈さんという今注目を集める3人の音楽家による演奏でお届けしました。
最初に演奏されたのは「エレクトリカルパレードのテーマ」。この曲の本来のタイトルは「バロック・ホーダウン」と言います。「ペリー・アンド・キングスレー」というエレクトロニック・ミュージック・デュオが1967年にリリースした楽曲です。「バロック」とは、あのバロック音楽のこと。オリジナルは初期のシンセサイザーを使って、バロック音楽でよく使われるチェンバロ風の音色を再現していたんですね。「ホーダウン」とはアメリカの伝統的なダンス。つまり、バロックの古雅な曲調と大衆的なホーダウンを合体させたうえで、これを当時の最新テクノロジーであるシンセサイザーの音色で表現するという斬新なアイディアが盛り込まれています。そんな電子音楽の名曲を今回は3人のソロとオーケストラで演奏しました。原曲とはまた違った浮き立つような気分が感じられたのではないでしょうか。
3人の音楽家のみなさんがそれぞれイチ推しのディズニー名曲を演奏してくれましたが、Cocomiさんが選んだのは「塔の上のラプンツェル」より「輝く未来」。透明感のある清澄な音色が印象的でした。やさしくエレガントなラプンツェルでしたね。
先月、日本管打楽器コンクールで史上最年少で優勝を果たした中学3年生のトランペット奏者、児玉隼人さんが選んだのは「リメンバー・ミー」の主題歌。情感豊かなトランペットのソロで始まり、オーケストラとともに次第に高揚する様子が見事でした。
新美麻奈さんは葉加瀬太郎さんの「題名プロ塾」で合格したヴァイオリニスト。プロ・デビューとなる今回選んだのは、「シンデレラ」より「夢はひそかに」。のびやかなヴァイオリンの音色がシンデレラのまっすぐな心情を伝えてくれました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)