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未来への扉!ニュースターの音楽会 2025

投稿日:2025年05月24日 12:36

 今週はクラシック音楽界の未来をリードするニュースターをいち早く紹介するシリーズ企画の第3弾。ピアニストの鈴木愛美さんとソプラノの野々村彩乃さんにご出演いただきました。
 鈴木愛美さんは2023年に日本音楽コンクールピアノ部門で第1位、ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリで第1位を獲得。さらに2024年、第12回浜松国際ピアノ・コンクールで日本人として初めての第1位に輝きました。世界各地から多数の若き才能が参加する同コンクールで、日本人が第1位を受賞したのは初めてのこと。また、いずれのコンクールでも第1位と同時に聴衆賞も獲得しているのですから、快挙というほかありません。
 今回は鈴木優人さん指揮東京交響楽団との共演で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の第3楽章を演奏してくれました。ベートーヴェンの楽曲は、そのスタイルから初期、中期、後期に分けられますが、1803年に初演されたこの協奏曲は中期の入り口に書かれた傑作です。中期の代表作である交響曲第5番「運命」と同じように、苦悩から歓喜へと至る様子が音楽で表現されています。フィナーレに相当する第3楽章では喜びが爆発。ピアノとオーケストラの対話を通じて、高揚感あふれる力強いクライマックスが築き上げられました。作品の核心に迫る本格派のベートーヴェンだったと思います。
 野々村彩乃さんは高校野球の開会式での国歌独唱で注目を集め、その後、全日本学生音楽コンクール声楽部門で高校の部第1位、大学の部第1位を獲得。以後、ジャンルを超えた活躍を続けています。山田耕筰作曲の「からたちの花」では、柔らかくクリーミーな声が印象的でした。人気ゲーム「サガ スカーレットグレイス 緋色の野望」のオープニング主題歌「砕かれし星」では、ドラマティックな歌唱を披露してくれました。まるでオペラの一場面のようでしたね。ゴージャスでした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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