今週は小学校の音楽の教科書に載っている名曲をどれくらい口ずさめるものなのか、街頭調査で検証してみました。名前を知っているような曲でも、歌ってみようとすると意外と出てこなかったりするものです。
口ずさめないランキングの第5位はベートーヴェンの「よろこびの歌」。いわゆる「第九」の「歓喜の歌」です。ベートーヴェンは生涯に9つの交響曲を書きましたが、その最後に書かれた作品がこちら。日本では年末の風物詩として親しまれていますね。
第4位はエルガーの行進曲「威風堂々」。中間部のゆったりとしたメロディは「希望と栄光の国」の別名でも知られています。格調高いメロディなので、卒業式の音楽によく使われます。
第3位はハチャトゥリアンの「剣の舞」。こちらはネッケの「クシコスポスト」と勘違いしている人が続出。どちらも運動会でよく使われる曲です。ハチャトゥリアンはバレエ「ガイーヌ」の一場面のためにこの曲を書きました。急場しのぎで一晩で書いた曲なのですが、「剣の舞」は爆発的な人気を呼び、作曲者の代表作になりました。あまりに「剣の舞」が有名になって、ほかの作品がかすんでしまったことから、後にハチャトゥリアンはこの曲を書いたことを後悔したと言います。
第2位はチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」より行進曲。この曲はまちがえやすいですよね。なにしろ同じ「くるみ割り人形」に「こんぺいとうの踊り」「葦笛の踊り」「トレパーク」「花のワルツ」など、有名曲がぎっしり詰まっているので、混同しても無理はありません。むしろ50人中9人が正しく口ずさめたことが驚きでは。
第1位はサン=サーンスの「白鳥」。組曲「動物の謝肉祭」の一曲ですが、白鳥つながりで、チャイコフスキーの「白鳥の湖」を思い出してしまう人が少なくありません。正解は50人中4人。お見事です!
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)