近年、20世紀の日本人作曲家たちを再評価する機運が高まっていると感じます。クラシック音楽をヨーロッパから取り入れる過程のなかで、日本の多くの音楽家たちが西洋音楽の伝統を学ぶとともに、日本固有の文化を反映させた独自の音楽を作り上げてきました。本日の「世界が称賛した日本人作曲家の音楽会」では、そんな20世紀の日本を代表するふたりの作曲家、伊福部昭と黛敏郎をご紹介いたしました。
伊福部昭といえば、なんといっても「ゴジラ」のテーマ曲がよく知られていますが、「ゴジラ」に先んじてあの有名なテーマが登場するのが、「ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲」。気鋭のヴァイオリニスト、山根一仁さんのキレキレの独奏でお楽しみいただきました。あの「ゴジラ」の主題の部分も迫力があってすばらしいのですが、山根さんが「桜が散るような儚さ」と表現していた抒情的な部分も聴きごたえがありましたよね。若い奏者がこういった作品を演奏してくれると、作品がまた新たな生命を得てフレッシュによみがえったような気持ちになります。「名演が名曲を作る」などと言われますが、こうして次代の奏者へと奏で継がれることで、作品は「名曲」と呼ばれるようになっていくのでしょう。
黛敏郎は戦後のヨーロッパの前衛音楽をいちはやく自作にとりいれた先駆者。ベルリン・ドイツ・オペラから委嘱された三島由紀夫原作のオペラ「金閣寺」のような大作もあれば、テレビで耳にする「スポーツ行進曲」のような曲も残しています。今回演奏された「饗宴」を吹奏楽バージョンでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
伊福部昭と黛敏郎、ふたりの作風はまったく違いますが、どちらも日本独自の音楽文化を体現した存在であることにはちがいがありません。「日本のクラシック」として、今後ますます演奏される機会が増えてゆくのではないでしょうか。
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世界が称賛した日本人作曲家の音楽会
投稿日:2018年01月20日 10:30
コメント
あのゴジラが日本人作曲家伊福部昭さんが作ったのは初めて知りました。たまたま私の側で見た母親ですら初耳のようでした。日本人の技術力は物だけでなく音楽にもあったんですね。誇りになります。