ドラゴンクエストシリーズの第1作が発売されたのは1986年のこと。今年でシリーズ40周年を迎えます。このシリーズを語るうえで欠かせないのが、すぎやまこういちの音楽。ファミコン時代には同時発音数が最大で3音までというハードウェアの制約があったにもかかわらず、すぎやまこういちはオーケストラの壮大なサウンドをイメージして、「ドラクエ」の音楽を作曲しました。オーケストラのための交響組曲「ドラゴンクエスト」は、そんな作曲者のイメージが実際に形になったものと言えるでしょう。本日は作曲者自身の指揮による貴重な映像をお楽しみいただきました。
「ドラゴンクエストI」の「序曲」は深い森を思わせるホルンの響きで始まります。「ドラクエIV」以降は勇ましいトランペットのファンファーレで開始されるようになりましたが、このホルンの導入も趣があってすばらしいですよね。さらに交響組曲版では「展開部」とでも言うべき部分が付いています。まるでベートーヴェンの交響曲のよう。
「ドラゴンクエストII」の「この道わが旅」はゲームのエンディングテーマ。「ドラクエII」は難易度が高かったので、苦労してエンディングにたどり着いたときの感激もひとしお。当時はゲーム途中のセーブデータを保存する仕組みがなく、代わりに「ふっかつのじゅもん」と呼ばれる長い文字列をメモしていたのですが、写し間違いでゲームを再開できなくなる事故が続出したものです……。
「ドラゴンクエストVI」の「魔王との対決」では、印象的な「悪のモチーフ」が使われています。「ドラクエVI」ではいろんな場面で「悪のモチーフ」が駆使されていました。ショスタコーヴィチばりの緊迫感があります。
「ドラゴンクエストIII」の「そして伝説へ」は、多くの人の記憶に残るエンディングテーマでしょう。ノスタルジーを湛えた曲想が、冒険の記憶を呼び起こします。輝かしいけれど、少し切ない。長い旅を終えたプレーヤーの気持ちに寄り添ってくれる名曲だと思います。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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