番組2500回記念シリーズの掉尾を飾るのは「歴史を彩る音楽会」。クラシック界を担う若きスター奏者のみなさんが一堂に会して、アンサンブルを組んでくれました。超優秀な奏者たちがひしめく若い世代を代表するような豪華メンバーが勢ぞろい。みなさん、本当に上手いですよね。あのメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲ときたら! あれだけ細部まで彫琢された精妙な演奏はめったに聴けるものではありません。
メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は、よく音楽祭などで演奏される名曲です。室内楽というと多くの作曲家が弦楽四重奏の名曲を書いていますが、八重奏が書かれることはまれなこと。弦楽四重奏団2つ分の奏者が必要になりますので、本来演奏機会は限られているのですが、なにしろ曲がとてつもなくすばらしい(これを16歳の年に書いたメンデルスゾーンの早熟ぶりには驚嘆するしかありません)。ですので、弦楽器の名手がたくさん集まる機会があると、せっかくだからこの曲を演奏しようということになります。番組収録中に奏者の方々もおっしゃっていましたが、いつかこのメンバーで全曲演奏するところを聴いてみたいものです。
ショパンのピアノ協奏曲第1番では、辻井伸行さんのピアノや川瀬賢太郎さんの指揮も加わって、いっそう華やかなアンサンブルがくりひろげられました。本来はピアノとオーケストラのための作品ですが、今回は室内楽編成に編曲してのショパン。こういったピアノ協奏曲を室内楽編成で演奏する試みは19世紀にも行われていました。なるほど、小編成には小編成の魅力があるということに気づかされます。個々の奏者間の対話の要素が強まり、奏者たちの技量の高さがしっかりと伝わってきます。辻井さんの華麗なピアノと川瀬さんのキレのある指揮ぶりのコントラストも絶妙の味わいを生み出していました。
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2500回記念④ 歴史を彩る音楽会
第26回出光音楽賞受賞者ガラコンサート
将来有望な若手音楽家を表彰する出光音楽賞の受賞者ガラコンサートが今年も開催されました。第26回出光音楽賞の受賞者は、川瀬賢太郎さん(指揮)、山根一仁さん(ヴァイオリン)、薮田翔一さん(作曲)の3名。将来を嘱望される若き実力者たちがそろいました。
指揮の川瀬賢太郎さんは1984年生まれ。現在、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めています。経験が求められる指揮者の世界で、若くして常任指揮者のような要職を務めるのは容易なことではありません。「神奈川フィルの顔」としてオーケストラを率いつつ、各地のオーケストラにも客演して、目覚ましい活躍をくりひろげています。本日のシューマンの交響曲第3番「ライン」では、横浜シンフォニエッタとともに、雄大な情景が目に浮かぶかのような見事な演奏を披露してくれました。
ヴァイオリンの山根一仁さんは1995年生まれ。まだ本当にお若いのですが、すでにリサイタルや協奏曲などで、たびたびすばらしい演奏を聴かせてくれています。なんといってもその魅力は切れ味が鋭く、思い切りのよい表現、そして鮮やかな技巧。ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番のフィナーレには鳥肌が立ちました。山根さんはこの曲が「幼稚園の頃から大好きだった」というのですから驚きます。モーツァルトやチャイコフスキーならともかく、3歳にしてショスタコーヴィチで踊っていたとは。そして、9歳で「題名のない音楽会」に出演していた映像が残っているのにもびっくり。長髪でかわいらしい少年だったんですね。
作曲の薮田翔一さんは昨年、ジュネーヴ国際音楽コンクール作曲部門で優勝を果たして話題を呼びました。コンクール受賞作のBillowは先鋭な作風で書かれた弦楽四重奏のための作品だったのに対して、本日の「風神雷神」はぐっとドラマティックで、大作映画に用いられてもおかしくないようなスケールの大きな作品でした。作曲にあたっては「どのような場所で、だれに向けた音楽なのかをよく考える」とおっしゃっていたのが印象的です。大きな可能性が広がっているのを感じます。