いよいよリオデジャネイロ・オリンピックが始まりますね。今週は「スポーツの祭典の音楽会」。オリンピックやワールドカップを彩る名曲が演奏されました。
オリンピックでは毎回独自のファンファーレが作られていますが、まっさきに思い出されるのが、ジョン・ウィリアムズ作曲によるロサンゼルス・オリンピックのための「オリンピック・ファンファーレとテーマ」。大会が終わってもなお演奏され続け、そのままファンファーレの定番曲として定着した感があります。「スターウォーズ」や「スーパーマン」など、数々の映画音楽で名作を生んできたジョン・ウィリアムズですが、このファンファーレもまた彼の代表作として残る一曲ではないでしょうか。
コープランド作曲の「市民のためのファンファーレ」も同じくアメリカが生んだファンファーレの名曲です。威厳と高揚感にあふれ、この曲自体、オリンピックのファンファーレとして演奏されてもおかしくないような雰囲気を持っていますよね。コープランドは後にこのファンファーレの主題を交響曲第3番の終楽章で再利用して、さらに大規模な音楽に仕立てています。本来ブラスバンド向けのファンファーレを、フル・オーケストラの交響曲にしたらどうなるのか。ご興味のある方はぜひ聴いてみてください。
サッカーの世界では、なんといっても、ヴェルディ作曲のオペラ「アイーダ」に登場する「凱旋行進曲」が有名です。ヴェルディの母国イタリアのみならず、世界中のサポーターたちがスタジアムでこのメロディを歌っています。
「アイーダ」で舞台となるのは古代エジプト。「凱旋行進曲」は第2幕のラダメス将軍率いるエジプト軍の勝利を称える場面で華々しく演奏されます。しかし、その後、ラダメス将軍は祖国の栄光よりも許されざる愛を選び、地下牢に閉じ込められて現世に別れを告げます。華やかだけど、結末は苦い。勝利とはひとときのものだからこそ、「凱旋行進曲」の壮麗さが際立つのかもしれません。
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スポーツの祭典の音楽会
宇宙旅行の音楽会
以前から「宇宙に行きたい」と公言している五嶋龍さん。では、宇宙旅行を音楽で表現するとしたら? 今回は広大な宇宙空間を連想させる楽曲が並びました。
宇宙飛行士の毛利衛さんは、宇宙空間でオーロラをくぐり抜けたとき、バッハと雅楽が同時に聞こえてきたといいます。番組中の「宇宙旅行メドレー」でも再現されていましたが、まったく異質な音楽がいっしょに連想されるのが、おもしろいですよね。
現在、27歳の五嶋龍さんにとって、宇宙旅行は決して夢物語ではないでしょう。民間宇宙旅行の話題がしばしばニュースをにぎわす時代がすでに到来しています。
しかし、19世紀の音楽家にとって、宇宙とは旅行を夢見るような対象ではありませんでした。イギリスの作曲家ホルストが組曲「惑星」を作曲したとき、その念頭にあったのは占星術の世界観だったといいます。ホルストから見れば、「火星」や「木星」は探査機が飛んでいく場所ではなく、戦いの神や快楽の神のシンボルだったのです。
ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスは、ニーチェの同名の哲学書に触発されて、交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を作曲しました。映画監督スタンリー・キューブリックは、先駆的SF映画「2001年宇宙の旅」でこの曲を効果的に使っています。映画のテーマは「進化」。きっと、キューブリックはこの映画とニーチェの著作の間に関連性を認めて、「ツァラトゥストラはかく語りき」を選んだのでは? 映画はこの名曲に「宇宙の旅」という新たなイメージを付け加えることに成功しました。
壮大なオーケストラ音楽と宇宙空間のイメージを決定的に結びつけたのは、映画「スター・ウォーズ」のテーマを作曲したジョン・ウィリアムズです。ジョン・ウィリアムズは伝統的なオーケストレーションの技法を駆使して、ハリウッド映画、とりわけSF映画の音楽史に新たなページを加えました。
もともと貴族の宮廷楽団として発達したオーケストラが、宇宙空間の未来的なイメージにぴったりと合うのが、なんだか不思議ですよね。