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歴史に残る名器と音楽家たち

投稿日:2015年10月25日 09:30

 いやー、びっくりしました。今回の放送、なにが驚いたかといえば、東儀秀樹さんがお持ちになった笙(しょう)の古さ。慶長3年、1598年製なんだそうです。ということは、今から500年以上も前! そんなに古い楽器が、今でもちゃんと美しい音を出してくれるんですね。
 ヴァイオリンをはじめ、西洋楽器の世界にも名器はたくさんあります。番組中でご紹介したグァルネリやストラディヴァリの名器は、主に17世紀後半から18世紀前半に作られたもの。古さという点では東儀さんの笙にはかないません。
 西洋の楽器でも日本の楽器でも共通して言えるのは、古い名器が現在も演奏に使われている、ということでしょうか。
 たとえば、何百年も前に当時の名工が作った筆入れがあったとしましょう。普通、そういったものは博物館に展示されるものであって、実用品として使おうとは考えません。壊れたり失くしたりしたらそれっきり。そう思うと、怖くて持ち歩くこともできません。
 でも楽器は違うんですね。ヴァイオリンは博物館にただ展示しておくよりも、実際に鳴らしたほうがコンディションを維持できるといいます。貴重な工芸品であり、収集品でもあり、それでいて実用品でもある。名ヴァイオリニストたちはそんな名器を携えて世界中を旅しているのです。
 じゃあ、歴史的名器はそんなに価値のあるものなのか、そんなにいい音がするものなのか。番組中で古澤巌さんが歴史的名器のグァルネリと20世紀のポッジを弾き比べてくれました。
「さすが、グァルネリの音には深みがある!」
 そう感じた方も大勢いらっしゃるでしょう。
「うーん、なんだかポッジの音のほうが好きだなあ」
 もしかすると、そんな感想を持った方もいらっしゃるかもしれません。
 そう感じたとしても、なにも不思議はないと思います。歴史的にグァルネリやストラディヴァリは多くの演奏家と聴衆を魅了してきました。しかし、「美しい音」に正解はないはず。あなたの心の琴線に触れる音が、真に「美しい音」なのです。

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