ユンディ・リがショパン国際ピアノコンクールで第1位を獲得したのは2000年のこと。史上最年少での優勝はセンセーションを巻き起こしました。それから15年が経った今年、第17回ショパン国際ピアノコンクールでは、ユンディが史上最年少で審査員を務めています。審査員席にユンディがいるというのは、なんだか不思議な感じもしますよね。
5年に1度開催されるショパン国際ピアノコンクールは、ほかのどのコンクールよりも大きな注目を集める特別な存在です。なぜそうなのかといえば、やはりすぐれた優勝者を輩出しているからでしょう。特に第6回(1960年)でマウリツィオ・ポリーニ、第7回(1965年)でマルタ・アルゲリッチという歴史に残る偉大なピアニストを世に出したことは、コンクールにとっての大きな栄誉といえます。
そんなショパン国際ピアノコンクールも、1990年代には苦難の時代を迎えました。1990年と1995年の2回のコンクールで、続けて第1位を出すことができなかったのです。コンクールでは、第1位にふさわしい才能がいなかった場合に、このように第1位を空席として、第2位を最高位とすることがよくあります。コンクールは若い才能を発見できるからこそ、その権威を保てるもの。2回続けて第1位を出せなかったショパン国際ピアノコンクールは、これからどうなってしまうのか。多くの人がコンクールの行方を案じました。
そして、2000年に15年ぶりとなる第1位を獲得したのが、ユンディでした。15年ぶりの第1位という印象が強烈だったせいでしょうか、近年のショパン国際ピアノコンクールの優勝者というと、いまだにまっさきにユンディの名を思い出してしまいます。
本日はユンディと五嶋龍さんの共演が実現したのもうれしかったですね。名ヴァイオリニスト、ミルシテインが編曲した、ヴァイオリンとピアノ版のノクターン第20番(遺作)。原曲のピアノ独奏とは一味違う、清新なロマンティシズムが伝わってきました。