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動くホール アーク・ノヴァの音楽会

投稿日:2017年11月11日 10:30

今年、9月19日から10月4日にかけて東京ミッドタウンの芝生広場に、移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」が設置されました。一見、コンサートホールには見えませんから、初めて見た人は「いったいなにが建ったのだろう?」と不思議に思われたかもしれません。
 もともとこのアーク・ノヴァは東日本大震災の復興支援のために、スイスの音楽祭「ルツェルン・フェスティバル」芸術総監督であるミヒャエル・ヘフリガーさんらが企画したもの。被災地でも演奏を可能にするために、移動式コンサートホールが発案された次第です。2013年から2015年にかけて、松島、仙台、福島の3か所で設置されてきましたが、今回初めて東京に登場することになりました。
 なにしろ移動式ですから、材質は軽くなければいけません。塩化ビニールでコーティングされたポリエステル製の膜が送風によって膨らんで、内部の空間ができあがるという仕掛けになっています。形状や色彩がなんとなく臓器や血管を連想させますが、実際に中に入ってみると、まるで自分が巨大生物の体内に潜り込んだかのような錯覚を覚えます。
 このアーク・ノヴァに登場したトランペットのラインホルト・フリードリッヒ、トロンボーンのヨルゲン・ファン・ライエンは、ともにルツェルン祝祭管弦楽団のスター・プレーヤー。ルツェルン祝祭管弦楽団は今年11年ぶりの来日を果たしました。このオーケストラは世界中から最高の精鋭が集った、いわば音楽界のドリームチームです。そんなオーケストラの金管楽器セクションの顔ともいえるおふたりがソロを聴かせてくれました。
 特におもしろかったのが、トロンボーンのための「スリップストリーム」。足元に置いた「ループステーション」に自分の演奏を録音して、これをループさせ、その上にさらに演奏を何重にも重ねて、曲を演奏していました。スリリングで、カッコよかったですよね。

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