今週は日本を代表する尺八奏者、藤原道山さんが、デビュー25周年を記念して開いたコンサートのリハーサルの模様と、本番のダイジェストをお届けしました。曲は道山さんがこの演奏会のために委嘱した新作、冷水乃栄流(ひやみず・のえる)さん作曲の尺八協奏曲「風は花となる」。尺八、そして日本音楽の未来のために、新しいレパートリーを作っていきたいという道山さんの思いから、注目の若手作曲家である冷水さんに新作の作曲が依頼されたのです。
この新作のために世界的指揮者の山田和樹さんが、東京藝大の教官や講師から構成される藝大フィルハーモニア管弦楽団を指揮するというのですから、これ以上はないというくらいにすばらしいメンバーがそろいました。そして、世界初演のリハーサルを目にする機会はなかなかありません。今回はたいへん貴重な映像を見ることができました。
オーケストラのリハーサルといっても、通常のレパートリーを演奏する場合と、新作を演奏する場合では大きく違います。最大の違いは、やはりそこに作曲家本人がいるということでしょう。奏者や指揮者が作曲家と直接コミュニケーションをとれることは、現代の音楽ならではの利点です。山田さんが冷水さんに作曲家の意図を尋ねる場面がなんどかありました。そのたびに、指揮者の指示により音楽の表情が変わってゆきます。同じ楽譜からも奏者によって異なる音楽が生まれてくることが、よくわかります。こういったリハーサルもまた創造の場であることを実感します。
本番のダイジェストからも、この協奏曲の斬新さが伝わってきました。洋と和が融合した色彩感豊かな第1楽章、抒情的な第2楽章、技巧的でスリリングな第3楽章という構成でした。第3楽章のフィナーレはすごくカッコよかったですよね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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