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クラシックの殿堂!サントリーホール40周年②世界中から愛されるホールの館長・堤剛が贈る音楽会

投稿日:2026年05月16日 10:30

 今週は先週に引き続き、今年開館40周年を迎えたサントリーホールからお届けいたしました。サントリーホールの館長を務めるのは、チェロの巨匠、堤剛さん。83歳の現在も現役チェリストとして活躍しています。
 今回は堤さんの独奏、小林研一郎さん指揮サントリーホール祝祭オーケストラによる演奏で、チャイコフスキーの傑作、「ロココ風の主題による変奏曲」を全曲お楽しみいただきました。この曲はチェリストにとって欠かすことのできないレパートリーと言ってよいでしょう。親しみやすく、しかも華やか。作品自体に親密な雰囲気があります。
 「ロココ」とは本来は美術や建築で使われた用語ですが、音楽作品では優雅で軽やかな、洗練されたスタイルを指しています。ここでは18世紀趣味、すなわちモーツァルトが生きていた時代への憧憬を表すものと考えればよいでしょう。チャイコフスキーがもっとも敬愛した作曲家がモーツァルトでした。まるでモーツァルト時代のようなコンパクトな編成のオーケストラが用いられ、冒頭のロココ風の主題が次々といろいろな表情に変奏されます。主題と変奏という形式もモーツァルトが得意としていました。
 チャイコフスキーはこの曲を書くにあたって、盟友であるチェリスト、ヴィルヘルム・フィッツェンハーゲンの助言を得ました。ところがフィッツェンハーゲンは助言をするにとどまらず、初演にあたり作曲者に無断で一部の変奏をカットしたり、変奏の順番を入れ替えてしまいました。楽譜はフィッツェンハーゲンが手を入れた形でそのまま出版され、これが現在も広く演奏されています。オリジナルに比べると、フィッツェンハーゲン版は華やかな変奏が最後に置かれるなど、演奏効果が優先されているように感じます。チャイコフスキーは決して嬉しくはなかったでしょうが、これだけ曲の人気が高いのはフィッツェンハーゲンのおかげなのかもしれません。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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