今週は「山田和樹と日本一の合唱団の音楽会」。
社会人から高校生まで、それぞれの世代で輝かしいコンクール歴を誇る合唱団を、世界的指揮者の山田和樹さんが指揮したらどうなるのか。そんな興味深い試みが実現しました。
山田和樹さんといえば、モンテカルロ・フィル芸術監督(9月~)、スイス・ロマンド管弦楽団首席客演指揮者、日本フィル正指揮者など、各地のオーケストラで要職に就く一方で、東京混声合唱団音楽監督も務めています。トップレベルの指揮者によるリハーサル風景を見られるという意味でも貴重な機会でした。
山田さんがどんな指導をするのか、事前にまったく予想がつかなかったのですが、いざ始まってみると短時間のなかで次々とリクエストを出して、作品に命を吹き込んでいきます。ほんの一言だけの指示でも、一気に音楽の表情が変わるのには驚かされました。山田さんの指導には「もっと花の香りがするように」といった比喩的な示唆もあれば、具体的な歌い方を指示するものもありました。そして、これらをただちに音楽に反映できてしまうのも、合唱団の実力があってこそ。教える側と教わる側がぴたりとかみ合って、密度の濃い練習になっていたと思います。
以前、山田さんにインタビューをしたときに「オーケストラの音は指揮者によってまったく変わる。不思議なことに、指揮台に立っただけでもその人の音が出てくる」といったお話をうかがいました。もしかすると、同じことが合唱団についても言えるのかもしれません。山田さんが合唱団の前に立った時点で、すでになにか化学反応が始まっているような気がするんですよね。
豊島岡女子学園コーラス部、東京フラウエン・カンマーコール、コンビーニ・ディ・コリスタ、どの団体にも劇的な変化が感じられました。特に印象的だったのが豊島岡女子学園コーラス部による木下牧子作曲「おんがく」。十代ならではの鋭敏な感受性がそのまま曲に直結しているようで、胸に迫るものがありました。
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山田和樹と日本一の合唱団の音楽会
投稿日:2016年06月12日 09:30