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トランペットの魅力をもっともっと伝えたい!音楽会

投稿日:2026年05月02日 10:30

 今週は大活躍中のトランペット奏者、児玉隼人さんと松井秀太郎さんのおふたりをお招きして、さまざまなジャンルのトランペット作品をお聴きいただきました。休みの日に好きな楽譜を持ち寄って、いっしょに練習するほど仲のよいおふたりですが、演奏する音楽のジャンルもトランペットの音色もずいぶんと違います。
 最初に児玉さんが演奏してくれたのは、ファッシュのトランペット協奏曲ニ長調より。ファッシュはバッハと同時代のドイツで活躍した後期バロック時代の作曲家です。各地の宮廷楽長を務め、バッハにも一目置かれるほどの名声を獲得していました。ピッコロトランペットの明るい音色による軽やかで優美な楽想はまさに宮廷の音楽にぴったり。
 同じピッコロトランペットを用いても、松井さんの自作Cats’ Battleではまったく違った音色が使われ、実に多彩な表現が生み出されていました。さらに松井さんはデューク・エリントンのIn a Mellow Toneで、とても自由でインスピレーションにあふれた音楽を披露。トランペットとピアノの対話から、その瞬間瞬間にふさわしい音楽が生まれてくるところがすばらしいですよね。
 児玉さんがピアノの阪田知樹さんと共演したのは、20世紀ドイツの作曲家ヒンデミットのトランペット・ソナタ。第3楽章は「葬送音楽」と記され、「すべての人は死ななければならない」という古いコラールが引用されています。作曲は1939年。ヒンデミットはナチスと対立してドイツを逃れ、スイスに滞在していた時期にこの曲を書きました。そんな時代背景もあって、このように峻厳で内省的な音楽が生まれたのでしょう。
 おしまいに演奏されたハイドンのトランペット協奏曲は、この分野における名曲中の名曲。クラシックではあらゆるトランペット奏者が吹くといっても過言ではありません。陰影豊かでエレガントな児玉さんの演奏も、大胆なアレンジによる松井さんの演奏も、どちらも爽快でした。トランペットの魅力がぎっしりと詰まっていましたね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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