近年、映画やゲームのために書かれた音楽が、単独の楽曲としてくりかえし演奏される例が増えてきたように思います。もともとの映画やゲームが発表されてから時間が経っても、音楽はずっと演奏され続けている……となれば、これは一種のクラシックでは。番組ではこういった新たな名曲を「ニュー・クラシック」と呼びたいと思います。今週はギターの村治佳織さんと、フルートのCocomiさんに、お気に入りの「ニュー・クラシック」を演奏していただきました。
1曲目は植松伸夫作曲のゲーム「ファイナルファンタジーX」より「ザナルカンドにて」。これは名曲ですよね。ゲームファンの間で名高いばかりではなく、「ファイナルファンタジーX」をプレイしたことがなくとも聴いたことのある方は少なくないでしょう。ノスタルジックな曲調はギターにもぴったり。最初からギターのために書かれた曲なのかと思ってしまうほどです。
2曲目はヤン・ティルセン作曲の映画「アメリ」より「ある午後のかぞえ詩」。2001年公開のフランス映画「アメリ」は日本でも社会現象といえるブームを引き起こしました。音楽を担当したヤン・ティルセンは映画音楽の作曲家ではなく、ジャンルにとらわれない活動をする音楽家です。「ある午後のかぞえ詩」はピアノ学習者にも人気が高く、映画音楽の枠を超えた名曲となっています。
3曲目はグスターボ・サンタオラヤ作曲のゲーム「The Last of Us」より「メインテーマ」。2013年発売のパンデミックにより崩壊した世界を舞台としたサバイバルアクションゲームのために書かれました。儚く切ない曲想が心にしみます。
おしまいはベンジ・パセク&ジャスティン・ポール作曲の映画「グレイテストショーマン」より「タイトロープ」。2017年製作のミュージカル映画です。メロディはのびやかで流麗なのですが、どこか寂しげで、内省的な雰囲気をまとっているところが印象に残りました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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