今週は世界各国のクリスマスの定番曲をお届けしました。いずれもおなじみの名曲ばかり。マルティン・ガルシア・ガルシアさんのピアノと、JNO Cello Quartetのみなさんのためのスペシャルアレンジで、ぐっとクリスマス気分が盛り上がりました。
1曲目はフェリックス・バーナード作曲の「ウィンターワンダーランド」。1934年の作曲で、リチャード・ヒンバーによるオリジナルの録音以来、200人以上ものアーティストたちによりカバーされてきたと言います。もともとはクリスマス・ソングではなく、恋人といっしょに過ごすロマンチックな心情を歌った曲です。寒い冬も熱烈に愛し合うふたりにとっては希望にあふれたワンダーランドだ、と歌っているのです。
2曲目は「牧人ひつじを」。こちらはイギリスの伝統的なクリスマス・キャロルです。日本でも広く親しまれており、クリスチャンならずともどこかで耳にしたり、口ずさんだりしたことのある曲でしょう。
3曲目はルロイ・アンダーソンの「そりすべり」。アンダーソンは「タイプライター」や「ワルツィング・キャット」など、数々の名曲で知られる人気作曲家で、その多くの作品はボストン・ポップス・オーケストラの演奏を通じて世界に知られました。「そりすべり」も「ウィンターワンダーランド」と同様、本来はクリスマスの曲ではないのですが、多くのミュージシャンがクリスマス・アルバムに収録したことから、この季節に欠かせない曲になりました。
4曲目は坂本龍一作曲の「Merry Christmas Mr. Lawrence」。1983年の大島渚監督による映画「戦場のメリークリスマス」で用いられ、作曲者代表作のひとつとして親しまれています。ガルシア・ガルシアさんの情感豊かな演奏が心に残りました。
おしまいはクリスマス・キャロル「荒野の果てに」。チェロのソロからはじまって、次第に厚みを増してゆくアレンジがドラマティックでしたね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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