今週は先週に引き続きまして、オーケストラと共演する夢をかなえる人気企画「夢響」の後編をお届けしました。後編も多数の応募者から選ばれた4名が、田中祐子さん指揮の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演を果たしました。
1人目はピアノの久保壮希さん。なんと、登録者数10万人の中学生ユーチューバーで、憧れの人は角野隼人さん。以前、番組で角野さんも演奏したガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」に挑戦してくれました。のびのびと弾いていて、心から演奏を楽しんでいる様子が伝わってきて、すばらしかったですね。聴く人もわくわくするようなガーシュウィンだったと思います。
バストロンボーンの山田秀二さんは、ザクセのトロンボーン小協奏曲で、まろやかで深みのある音色を聴かせてくれました。音楽の表情も豊かで、大人の味わいがあります。還暦を迎えてもまだまだ成長したいというお話が印象的でした。刺激になった方も多いのでは。
ヴァイオリンの内田彩稀さんは、わずか7歳にしてオーケストラとの共演を実現。夢はお医者さんと音楽家の二刀流だとか。ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲で、オーケストラと一体になった見事なソロを披露してくれました。物怖じすることなく、堂々と弾く姿は頼もしいかぎり。将来が楽しみですね。
アルトサクソフォンの中澤夏子さんは、プロのサクソフォン奏者を目指す高校2年生。現代ベルギーの作曲家スウェルツの「クロノス」で、作品の魅力を存分に伝えてくれました。楽曲のダークでモダンなテイストとひりひりするような緊迫感が漂ってきて、聴きごたえ抜群。これからの飛躍を期待しています。
もっとも心を震わせたひとりに贈られるスペシャルドリーマー賞には、前編で登場した藤田一槻さんが選ばれました。藤田さんの透明感のある声が忘れられません。藤田さん、おめでとうございます!
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)