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世界で活躍する演奏家から届いた!来年の抱負

投稿日:2025年12月27日 10:30

 今回は世界で活躍する音楽家のみなさんに、今年を振り返りつつ、来年の抱負を語っていただきました。
 ピアニストの角野隼斗さんはニューヨークからメッセージを届けてくれました。演奏曲はジョン・ケージの「プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」よりソナタ第5番。プリペアド・ピアノとは、弦にねじやゴムなど異物を装着して音を変化させたピアノのこと。今やこの楽器のための古典となったケージの名作に、角野さんが新風を吹き込んでくれました。
 トランペット奏者の児玉隼人さんは今年大ブレイクを果たしました。現在はドイツに渡り、さらなる研鑽を積んでいます。演奏曲はアーノルドの金管五重奏曲第1番。10代の若いメンバーたちとの共演は、キレがあって軽快です。まろやかな音色もすばらしかったですね。
 今年の音楽界で話題の人といえば、アメリカのピアニスト、エリック・ルーさんを挙げないわけにはいきません。2025年ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝を果たして脚光を浴びました。今後、時代を代表する大ピアニストへの道を歩んでくれることでしょう。
 ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんは、今年クライズラー&カンパニーでデビューして35周年。来年はソロデビュー30周年で、節目の年が続きます。曲は坂本龍一のandata。弦楽四重奏にインドネシアのガムラン、シンセサイザーを加えた実験的な演奏でした。
 指揮者の山田和樹さんは、今年、世界最高峰の楽団であるベルリン・フィルにデビューを果たしました。来年はベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任します。番組では未来オーケストラとの共演が大好評を博しました。オーケストラから気迫のこもったすごい音が出ていました。
 おしまいは石丸幹二さんと井上芳雄さんの共演により、「エリザベート」より「闇が広がる」。これは熱かったですね。来年は「ミュージカルをミュージカルで説明する音楽会」の第2弾が予定されていますので、ご期待ください。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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世界各国で生まれたクリスマスソングを楽しむ音楽会

投稿日:2025年12月20日 10:30

 今週は世界各国のクリスマスの定番曲をお届けしました。いずれもおなじみの名曲ばかり。マルティン・ガルシア・ガルシアさんのピアノと、JNO Cello Quartetのみなさんのためのスペシャルアレンジで、ぐっとクリスマス気分が盛り上がりました。
 1曲目はフェリックス・バーナード作曲の「ウィンターワンダーランド」。1934年の作曲で、リチャード・ヒンバーによるオリジナルの録音以来、200人以上ものアーティストたちによりカバーされてきたと言います。もともとはクリスマス・ソングではなく、恋人といっしょに過ごすロマンチックな心情を歌った曲です。寒い冬も熱烈に愛し合うふたりにとっては希望にあふれたワンダーランドだ、と歌っているのです。
 2曲目は「牧人ひつじを」。こちらはイギリスの伝統的なクリスマス・キャロルです。日本でも広く親しまれており、クリスチャンならずともどこかで耳にしたり、口ずさんだりしたことのある曲でしょう。
 3曲目はルロイ・アンダーソンの「そりすべり」。アンダーソンは「タイプライター」や「ワルツィング・キャット」など、数々の名曲で知られる人気作曲家で、その多くの作品はボストン・ポップス・オーケストラの演奏を通じて世界に知られました。「そりすべり」も「ウィンターワンダーランド」と同様、本来はクリスマスの曲ではないのですが、多くのミュージシャンがクリスマス・アルバムに収録したことから、この季節に欠かせない曲になりました。
 4曲目は坂本龍一作曲の「Merry Christmas Mr. Lawrence」。1983年の大島渚監督による映画「戦場のメリークリスマス」で用いられ、作曲者代表作のひとつとして親しまれています。ガルシア・ガルシアさんの情感豊かな演奏が心に残りました。
 おしまいはクリスマス・キャロル「荒野の果てに」。チェロのソロからはじまって、次第に厚みを増してゆくアレンジがドラマティックでしたね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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自由に音楽をつくりだす! el tempoの音楽会

投稿日:2025年12月13日 10:30

 今週はハンドサインで即興演奏をするel tempo(エル・テンポ)のみなさんをお招きしました。昨年、一昨年にもシシド・カフカさんとel tempoの演奏をお楽しみいただきましたが、今回はシシドさんに加えてハンドサイン「リズム・ウィズ・サインズ」の考案者であるサンティアゴ・バスケスさんが参加してくれました。ふたりのコンダクターが同じel tempoからまったく違った音楽を引き出してくれたおかげで、いっそうハンドサインのおもしろさが伝わってきたように思います。
 コンダクターという言葉が示すように、メンバーに次々と指示を出すシシドさんやサンティアゴさんの姿は、オーケストラの指揮者を連想させます。でも、オーケストラと根本的に違うのは、これが即興演奏であること。ハンドサインのコンダクターは、指揮者であると同時に作曲家でもあると言えるでしょう。
 el tempoのメンバーの芳垣安洋さんが、シシドさんとサンティアゴさんの違いについて、「シシドさんははっきりしたベクトルを持って力強く進む。サンティアゴさんはハーモニーを自由にいつでもギアチェンジできる」と話していましたが、これには納得。これまでの2回でも、シシドさんはパワフルで推進力のある音楽を生み出していましたが、今回初めて聴いたサンティアゴさんの音楽はとても変化に富んでいて、意外性に満ちていました。カラフルな音色を次々と引き出しながら、遊び心あふれる音楽をくりひろげます。コンダクターが変われば、ぜんぜん違った音楽が生まれるということがよくわかりました。
 ふたりのコンダクターが交代する即興演奏も楽しかったですよね。途中からシシドさん、さらにはサンティアゴさんが会場に向かってサインを出して、全員が参加する場面がありました。聴くだけではなく参加できるのはハンドサインの大きな魅力。客席のみなさんがちゃんとハンドサインを理解していて、すごい!と感心しました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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市民が文化をつくる街・知多で音楽会~ちたUMEブラス本番

投稿日:2025年12月08日 12:41

 今週は愛知県知多市で活動する小学生から中学生による金管アンサンブル「ちたUMEブラス」の本番の模様をお届けしました。これまで上野耕平さんたちのサポートのもと、5か月間にわたって特訓を積んできた子どもたちが、ついに本番のステージを迎えました。
 演奏前は緊張した面持ちの子どもたちでしたが、いざ「ライラック」の演奏が始まってみると、見違えるほど上達しているではありませんか! ひたむきさのなかに自信も感じられる演奏で、とても豊かで温かみのある音楽が生み出されていました。やはり子どもたちの吸収力というのはすごいものだと感じます。見事に晴れ舞台を飾ってくれました。
 PANDA Wind Orchestraのみなさんによるプロフェッショナルならではの演奏からは、あらためてウインド・オーケストラの魅力を教わったように思います。こんなにも色彩的で、幅広い表現ができるのかと驚くばかり。これほど歌心にあふれた「アメイジンググレイス」はなかなか聴けるものではありません。上野さんのアルトサクソフォンをはじめ、それぞれの楽器が情感豊かにメロディを奏でます。佐藤采香さんのユーフォニアムのまろやかな音色も印象的。心に沁みました。
 おしまいに演奏されたのは、ホルストの吹奏楽のための組曲第1番より第3楽章マーチ。この曲はクラシックの大作曲家が吹奏楽のために書いた貴重な傑作です。吹奏楽の分野における古典といってよいでしょう。ホルストは組曲「惑星」で名声を築いたイギリスの作曲家ですが、有名になる前は劇場オーケストラでトロンボーン奏者を務めていた時代もありました。組曲第1番は1909年の作曲。まだ「惑星」を書く以前の作品です。背筋が伸びるような格調高さ、流麗なメロディ、軽やかなユーモアなど、いろんな要素をあわせもったマーチでした。2つのメロディが同時に進むところはカッコよかったですよね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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