今週は先週のオーディション編に続きまして、年に一度のスペシャル企画「夢響」の前編の模様をお届けしました。オーディションを通過した参加者たちが、ついに田中祐子さん指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演を果たします。
トップバッターはピアノの春木穏流さん。まだ小学4年生です。昨年の参加者、久保壮希さんが客席からエールを送ってくれました。ふたりの友情が熱い! 曲は清塚信也さん作曲の「Brightness」より。みずみずしく高揚感にあふれた音楽が紡ぎ出されました。
2番手はホルンの山路樹里さん。小中学校ではトランペットを吹いていたのに、高校では定員オーバーで、くじ引きでハズレをひいたことがホルンとの出会いになったとか。今ではホルンは自らの分身だといいます。応援団には師匠である元東京響楽団ホルン奏者の大和田浩明さんの姿も。曲はリヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲第1番の第1楽章より。この曲はホルン奏者の憧れの曲でしょう。冒頭のファンファーレ風主題がカッコよかったですよね。
3番手はオーボエの伊藤由貴さん。ベルリン・フィル入団という大きな夢を抱いての参加です。現在は高校3年生。来年はドイツの大学に進学するといいますから、すごいですよね。送り出す親御さんの姿に、子を応援する気持ちや心配する気持ちなど、いろいろな思いが滲み出ていたと思います。曲はハイドンのオーボエ協奏曲の第1楽章より。のびやかで生き生きとしたソロを披露してくれました。本当にすばらしい演奏でした。
4番手はピッコロの小松有更さん。赤いベストがきまってました。「大好きな曲」というハチャトゥリアンのフルート協奏曲(原曲はヴァイオリン協奏曲)の第3楽章に挑戦。ピッコロによる演奏でこの曲を聴いたのは初めてでしたが、軽快にして爽やか。この曲の新しい魅力を発見した思いです。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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