今週は先週に引き続いて、葉加瀬太郎さんによる人気企画「題名プロ塾」第4弾後編をお送りしました。最終レッスンに進んだ渥美結佳子さん、成宮千琴さん、新美麻奈さんの3名が、「ボーカリストとのデュエット」に挑みました。課題曲は映画「リトル・マーメイド」より「パート・オブ・ユア・ワールド」。豊原江理佳さんのボーカルとの共演です。
クラシックのヴァイオリンを学ぶみなさんにとって、ボーカルとの共演は新鮮な体験だったのではないかと思います。葉加瀬太郎さんのチェックポイントは「歌手を引き立てるオブリガート」と「自分が映えるオブリガート」の弾きわけ。オブリガート(助奏)とは、ここではメロディを引き立てる対旋律のことを指しています。
最初に演奏したのは渥美結佳子さん。さわやかな演奏を披露してくれましたが、葉加瀬さんのアドバイスは「ずっと弾き続けるのではなく、弾かないところがあっていい」。休むところは休み、主役になったときはもっと目立ってよいと言います。アドバイス後の演奏は、ぐっと対話性が豊かになったように思います。
2番手に登場した成宮千琴さんは、インパクト抜群。イントロ部分もカッコよかったですし、ボーカルが入った後も華麗な演奏で盛り上げてくれました。デュエットとしては饒舌かもしれませんが、よく練られていたと思います。まるでオペラの白熱する二重唱を聴いているかのよう。
最後に演奏したのは新美麻奈さん。キリリとした端正なソロで、バランスよくボーカルに寄り添っていました。葉加瀬さんは新美さんの演奏にケルト音楽的なイメージを感じたと言います。素朴な民族音楽風のテイストを加えることで、一段と豊かな味わいが引き出されました。
三者三様の魅力がありましたが、選考の結果、選ばれたのは新美さん! 音楽的な引き出しの多さが評価されました。番組でのデビューが楽しみです。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)