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辻井伸行の大切な曲を聴く休日

投稿日:2018年01月14日 12:31

辻井伸行さんがCDデビューを果たしたのは2007年10月のこと。デビュー10周年を迎え、今年30歳になる辻井さんに、ご自身が「大切な曲」と語る作品を演奏していただきました。ラヴェルの「水の戯れ」やリストの「ラ・カンパネラ」とともに、自作の「それでも、生きてゆく」が選ばれていました。作曲もするピアニストにとって、自作曲が大切な曲であるのは当然のことでしょう。
 同世代と分かり合えた曲としてショパンのピアノ協奏曲第1番が挙げられていたのも印象的でした。こちらは以前、この番組で五嶋龍さんをはじめとする若手奏者たちと辻井さんが室内楽編成で共演した曲です。なにしろ辻井さんはデビュー10周年といっても、まだ今年で30歳という若さ。あまりに早くからキャリアがスタートしたため、これまでは同世代との共演のチャンスがほとんどありませんでした。それがようやく同年代の奏者たちが活躍する年齢に到達し、三浦文彰さんのような友人たちから新たな刺激を受けるようになったといいます。三浦さんのコメントをうれしそうに聞く辻井さんの表情が実によかったですよね。
 優勝したヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでのエピソードで披露された辻井さんの練習方法はとても興味深いものでした。目の見えない辻井さんがどうやって楽譜を覚えるのか。よくCDで聴いて覚えるのだと誤解されるそうですが、そうではないんですね。先生に楽譜に書いてあることを片手ずつ感情を込めずに機械のように弾いて録音してもらって、これを耳で聴いて覚えて、それから自分自身の解釈を加えて曲を仕上げる。つまり、通常は視覚で楽譜を読む最初のプロセスを、聴覚で行なっていると考えればよいでしょうか。同じ楽譜から千差万別の表現が生まれるのがクラシック音楽のおもしろいところですが、辻井さんの場合も他人の表現からではなく、楽譜から出発して自分自身の表現を考え抜いていることがよくわかります。

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コメント

辻井信行さんが演奏する「それでも 生きていく」を聞いて泣いてしまいました。大きな悲しみの後で、この曲はとっても優しく感じました。

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