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3曲でクラシックがわかる音楽会~フルート編〜

投稿日:2025年10月11日 10:30

 今週はシリーズ企画「3曲でクラシックがわかる音楽会」のフルート編。伊集院光さんを聞き手にお招きして、多久潤一朗さん、神田勇哉さん、梶原一紘さんにフルートの魅力がわかる3曲を演奏していただきました。
 冒頭に演奏されたのはビゼーの組曲「アルルの女」より「メヌエット」。フルートとハープの組合せは絶妙です。今回は多久さんの編曲でアルトフルート、バスフルートまで加わり、多彩なフルートの音色を楽しむことができました。
 ドビュッシーの「シランクス」は、本来は独奏フルートのための作品。こちらも多久さんによるハープとフルート3人のための編曲でお届けしました。耳なじみのよい曲ではありませんので「知らんくす」と言われても仕方のないところではありますが、フルート奏者にとっては超重要レパートリー。題のシランクスとは、ギリシャ神話に登場する美しいニンフの名に由来します。牧神パンに追いかけまわされたシランクスが、逃げ場を失って川のほとりで葦に姿を変えたところ、パンはその葦で笛を作りました。これがパンの笛、別名シランクス(シュリンクス)と呼ばれます。曲調からほのかな官能性と気だるさが伝わってきます。
 それにしてもコントラバスフルートの大きさと音の低さにはびっくりしました。他の木管楽器とはまた違った深みのある音色がします。フルートというと高い音を出す楽器というイメージですが、こういった低い音を出す楽器もあるんですね。
 チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」に登場する「あし笛の踊り」もフルートが活躍する代表的な名曲です。今回の編曲ではフルートの音色がひとつに溶け合うところが聴きどころ。とても爽やかな「あし笛の踊り」になっていました。
 おしまいはリムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」。本来はオペラ「サルタン皇帝の物語」の一場面で使われる曲だったのですが、今ではオペラ本体はめったに上演されず、もっぱら「熊蜂の飛行」のみが「速弾きの曲」として人気を博しています。すごい速さで熊蜂が飛んでいました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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