今週は注目の若手音楽家をいち早くご紹介するシリーズ企画の第2弾。ヴァイオリニストの東亮汰さんとトランぺッターの児玉隼人さんをゲストにお招きしました。
東亮汰さんは現在24歳。2019年の第88回日本音楽コンクールで第1位を獲得しました。昨年、メジャー・デビューとなるアルバム「Piacere~ヴァイオリン小品集」をリリース。アニメ「青のオーケストラ」で主人公のヴァイオリンの吹き替えを担当したことでも話題を呼びました。
東さんによるラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」第18変奏は情感豊か。原曲はピアノ曲ですが、ヴァイオリンで聴いても、やはりすばらしいですね。ブラームスのヴァイオリン協奏曲は日本音楽コンクールで第1位を獲得した際の演奏曲。気迫のこもったソロでオーケストラとともに雄大な音楽を紡ぎ出します。つややかで輝かしいヴァイオリンの音色も印象に残りました。
極度のあがり症という東さんの秘策は、「本番前に全力ダッシュして心拍数を上げる」。いったん上げてしまえば、あとは自然に下がるだけという逆転の発想です。機会があったら試してみてもいいかも?
児玉隼人さんは14歳のトランペッター。なんと小6で初のソロ・リサイタルを開き、オーケストラとの共演は10回を超えるというのですから驚きです。故郷の釧路で世界的トランぺッターのアンドレ・アンリが演奏会を開いた際に、楽屋を訪れて演奏を聴いてもらったことが運命の出会いとなりました。特定の先生につかず、ふだんはYouTubeを参考にして練習をしているというお話にもびっくりしました。
久石譲作曲「天空の城ラピュタ」の「ハトと少年」では爽快な音色を堪能させてくれました。フンメルのトランペット協奏曲はトランペット奏者には欠かせないレパートリー。テクニックを要求される曲ですが、児玉さんの演奏はすこぶる軽快。晴れ晴れとした気分にしてくれます。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)