• mixiチェック

もうすぐ60周年!私の音楽人生に影響を与えた名演の音楽会 後編

投稿日:2024年03月23日 10:30

 この4月で60周年を迎える「題名のない音楽会」。前回に引き続き、第一線で活躍する音楽家たちのみなさんに番組の思い出と、もう一度見たい名演について語ってもらいました。
 葉加瀬太郎さんがもう一度見たい名演に挙げたのは、少年時代の憧れの存在だったという坂本龍一さんの出演回。1984年放送の黛敏郎さんとの対話シーンがありましたが、当時坂本龍一さんは32歳の若さ。YMOの散開直後でした(当時、YMOはグループの「解散」と呼ばずに、あえて「散開」という言葉を使っていました)。東京藝術大学大学院修了作品の「反復と旋」が演奏されていましたが、いわゆる「現代音楽」と呼ばれるモダンな書法が用いられていたのが印象的です。
 角野隼斗さんが挙げたのは、久石譲さんが新日本フィルを指揮したジョン・アダムズの「ロラパルーザ」。ジョン・アダムズは現代アメリカの作曲家で、ポスト・ミニマルミュージックと呼ばれる反復的なスタイルを特徴としています。オーケストレーションも巧みで、その主要作品はベルリン・フィルをはじめ世界中のオーケストラによって演奏されています。現代の作品ですが、おそらく今後レパートリーとして定着して、新たな「クラシック音楽」になることでしょう。
 廣津留すみれさんがもう一度見たい名演に挙げたのは、デイヴィッド・ギャレットの「熊蜂の飛行」。カッコよかったですよね。デイヴィッド・ギャレットは一世を風靡したヴァイオリン界のスーパースター。ロックスターのような風貌でありながら、鮮やかなヴァイオリンのテクニックで聴く人を魅了します。
 山田和樹さんは、山本直純さんの指揮台の高さを変える実験企画を、子どもながらにおもしろいと思ったと言います。そんな実験精神が引き継がれたのが、2016年放送の「指揮者のわがまま音楽会」。山田さんはオーケストラの配置をばらばらにしてプロコフィエフの「古典交響曲」を指揮してくれました。既存の常識を疑う姿勢は、クラシック音楽の世界でも大切なことなのかもしれません。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

  • mixiチェック
コメントはこちらからどうぞ

ニックネーム
コメント

※必ず注意事項をお読みの上、送信して下さい。

フォトギャラリー

フォトギャラリーを詳しく見る≫