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葉加瀬太郎“超絶デュオ”の音楽会

投稿日:2023年10月07日 10:30

 今週は葉加瀬太郎さんがヴァイオリニストの小野明子さんと結成した新ユニット、「超絶デュオ」の演奏をお楽しみいただきました。小野さんは2000年メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなど、多くの入賞歴を誇り、現在はロンドンを拠点に国際的に活動するヴァイオリニスト。イギリスのメニューイン音楽院やギルドホール音楽院で教授も務めています。
 葉加瀬さんが小野さんを「ヴィルトゥオーゾ」と呼んでいましたが、これは卓越した技術を持った名演奏家を指す言葉。あえて日本語にすれば「名人」とか「達人」といったところでしょうか。特にヴァイオリンの世界には、華麗な超絶技巧を駆使する「ヴィルトゥオーゾ」たちの伝統があり、そんな名手たちの技巧を生かすための作品が数多く書かれています。
 今回演奏された曲はいずれも葉加瀬太郎さんの楽曲。啼鵬さんの編曲により、2台ヴァイオリンならではの華やかさが楽曲にもたらされていました。おなじみの「情熱大陸」もおふたりの共演によって、一段とスケールアップ。小野さんの重音奏法を活用したバッハ風カデンツァ、葉加瀬さんのブラームスのヴァイオリン協奏曲風のカデンツァが挿入されていて、とても新鮮でした。カッコよかったですよね。
 2曲目の「One pint of Love」では、葉加瀬さんが奏でるアイルランドのフィドルの世界に、小野さんの小気味よい超絶技巧が加わるという楽しい趣向。絶妙なコンビネーションでした。
 3曲目の「冷静と情熱のあいだ」は、小野さんのバッハ「シャコンヌ」風のソロではじまり、そこに葉加瀬さんのヴァイオリンが加わって、親密な音の対話がくりひろげられます。途中で入る小野さんのフラジオレットが爽やか。
 それにしても、おふたりのヴァイオリンの音色が本当に美しい! 2台のヴァイオリンから生まれる潤い豊かな音色にすっかりぜいたくな気分になりました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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