今週は先週に引き続き、オーケストラと共演する夢をかなえる「夢響」の後編をお届けしました。4名の参加者の方々が三ツ橋敬子さん指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演。コンサートホールの舞台に立つだけでも相当緊張しそうなものですが、みなさん本当に堂々たるステージ姿で、とてもオーケストラとの共演が初めてとは思えません。感服しました。
最初に登場した金子暖さんは小学5年生。将来の夢はショパン・コンクールのファイナリストだといいますから、頼もしいかぎりです。曲はグレツキの「若きショパン風協奏曲第2番」の第3楽章より。ショパンを模したスタイルで書かれた作品だけあって、まさに雰囲気はショパン・コンクールのファイナル。コンクールさながらの華やかさと高揚感がありましたね。
ウインドシンセサイザーという意外な楽器で応募してくださったのは日下志友彦さん。ずっとひとりで練習してきたので、人と合わせるのは初めてだといいますが、まさか初共演の相手がプロのオーケストラになるとは。曲はおなじみの「宝島」。カッコよかったですよね。本人が心から楽しんでいる様子が伝わってきて、聴く人に元気を与えてくれる演奏だったと思います。
益田彩乃さんは今回唯一のボーカルでの共演。「リトル・マーメイド」の主題歌「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌ってくれました。のびやかで透明感のある声とオーケストラのサウンドがぴったりとマッチしていて本当に素敵でした。「スペシャル・ドリーマー賞」は納得でしょう。
高校1年生の紺野あすかさんはアルトサクソフォンで、トマジ作曲の「バラード」に挑戦。本格派の選曲でしたが、実に見事な演奏で聴き惚れてしまいました。今回は抜粋でしたが、ぜひ全曲を聴いてみたくなります。大きな可能性を感じます。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)