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春から連想する音楽会

投稿日:2023年05月06日 10:30

今週は「春から連想する音楽会」と題して、連想ゲームのような音楽会をお届けしました。ゲスト奏者たちが連想する言葉を数珠つなぎで発表し、それぞれの言葉からイメージされる曲を演奏するという趣向です。
 まず「春」といえば「そよ風」ということで、イメージされた曲は映画「もののけ姫」より「アシタカとサン」。フルートの清澄な音色にギターとチェロの温かみのある音色が加わって、やさしくしなやかな音楽が奏でられました。「そよ風」にふさわしい心地よさでした。
 Cocomiさんが「そよ風」から連想した言葉は「旅」。曲はミシェル・ルグランの「キャラバンの到着」。1967年公開のフランスのミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち」で用いられた名曲です。さまざまなアレンジで親しまれている曲ですが、本日はCocomiさんのフルートと林周雅ストリングスの演奏で。軽快で、気持ちが浮き立ちます。
 村治佳織さんが「旅」から連想した言葉は「ワクワク」。そして「ワクワク」からイメージした曲はファレル・ウィリアムスの「ハッピー」です。村治さんの華麗なギターにストリングスのソロ回しも加わって、カッコよかったですね。
 チェリストの上村文乃さんが「ワクワク」から連想した言葉は「笑顔」。曲はガッロの「12のトリオ・ソナタ第1番」第1楽章です。聴く人を笑顔にしてくれる爽快な音楽でした。ガッロという作曲家は多くの方にとってなじみが薄いはず。むしろこのメロディは、ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽「プルチネッラ」に登場する曲として親しまれていると思います。20世紀の作曲家ストラヴィンスキーは、イタリアの知られざる古楽を題材に用いて、このバレエ音楽を作曲しました。その元ネタのひとつが、このガッロのトリオ・ソナタなんですね。18世紀の作曲家とは思えないほどフレッシュでキャッチーな曲調で、ストラヴィンスキーが目をつけるもの納得です。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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