音楽の教科書に書いてあることはすべて正しいはず。でもそこに書いてあることからさらに一段踏み込んで、生きた音楽を奏でるにはどうしたらよいのか。今週は世界的指揮者山田和樹さんならではの視点による「教科書を超えた音楽会」をお届けしました。
音楽辞典で「スタッカート」の意味を調べると、「各音を短く切って演奏すること」などと記述されています。楽譜上の表記は符頭の上下に点(・)を付けるのが一般的ですが、楔(▼)マークが付くこともあります。この点と楔を合わせるとビックリマーク(!)になるという山田さんの説明には、思わず声を上げて笑ってしまいました。おもしろい! でも、冗談ではなくて、これが表現の本質を突いている、ということなんですよね。
山田理論によれば、「スタッカートは音を短くきるのではなく、特別な音にする」。「特別な音」と言われてピンと来なかった方も、実演での比較を見ると、たしかに違いがあると感じていただけたのではないでしょうか。ただ音を短く切るだけだと、無表情な音楽になってしまうという説明には納得。
続く「半音は全音よりエネルギーを使え」や「イン・テンポは音楽に存在しない」といった山田さんの教えも、一見すると逆説的ですが、実例を伴うとよくわかります。感情表現が生まれてくるのは半音から。イン・テンポが当然と思われるマーチのような曲ですら、細かく見ればテンポは動いている。最初の「スタッカートを特別な音にする」も含めて、これらはすべて音楽に命を吹き込むための方法といってよいでしょう。
今回は山田和樹さんが指揮する吹奏楽という点でも興味深いものでした。チェザリーニ作曲の交響詩「アルプスの詩」は、まさにリヒャルト・シュトラウスばりの壮麗な音のスペクタクル。アルプスの雄大な光景が目に浮かんでくるかのような演奏でした。
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教科書を超えた音楽会
投稿日:2017年09月10日 09:30
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