番組放送60周年を記念して新たなプロジェクト、18歳以下の子どもたちによる「未来オーケストラ」がスタートしました。
指揮を務めるのは、世界的指揮者の山田和樹さん。山田さんは2009年に第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したことをきっかけに国際的な注目を集め、現在はモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、さらにバーミンガム市交響楽団首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーを務めるなど、目覚ましい活躍をくりひろげています。欧米のトップレベルのオーケストラへの客演も多く、昨年はニューヨーク・フィルやサンフランシスコ交響楽団にデビューを果たし、今年6月には世界最高峰の楽団であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会へのデビューが予定されています。ベルリン・フィルへのデビューともなれば、日本のみならず世界中の音楽関係者から注目が集まることはまちがいありません。
そんな超多忙な山田さんが今回の企画では自らオーディションに立ち会って、書類審査を通過した104名もの参加者ひとりひとりを審査してくれました。オーディションは5時間にわたる長丁場となりましたが、その結果、山田さんが出した結論はまさかの「全員合格」! 全員そろって、クラシックの名曲をメドレーでつないだ「クラシックのおもちゃ箱」に挑戦することになりました。
参加してくれた子どもたちは年齢も楽器もさまざまでしたが、音楽にまっすぐに向き合う姿勢は同じ。山田さんはオーディションを通じて、何人もの逸材に出会います。なかには以前に番組に出演してくれた懐かしい顔ぶれも。ほとんどの子が将来は音楽家になりたいと語ることに対して、山田さんは「もはや運の問題」と語ります。ふさわしい先生に出会うことの大切さ、そして最終的には「センスと表現力」が求められるのだというお話が印象に残りました。
はたしてどんなリハーサルでは、山田さんがどんな指導をしてくれるのか。続きが楽しみです。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)