今週は話題の映画音楽を鈴木優人さん指揮東京フィルの演奏でお届けしました。80人編成のオーケストラによるサウンドは迫力があって、色彩感豊か。そして優人さんの解説のおかげで、名曲の秘密に一歩近づけたように思います。
映画「ハリー・ポッター」の「ヘドウィグのテーマ」を作曲したのは巨匠ジョン・ウィリアムズ。「ヘドウィグのテーマ」では、チェレスタが印象的に用いられていました。チェレスタは鍵盤楽器ながら鉄琴のようなキラキラとした音色を持っています。この楽器の魅力にいち早く気づいた大作曲家がチャイコフスキー。チャイコフスキーはチェレスタをバレエ音楽「くるみ割り人形」の「こんぺい糖の踊り」で効果的に用いました。そして「くるみ割り人形」が大ヒット作になったことから、世界中のオーケストラでチェレスタが使われるようになりました。もしチャイコフスキーが「くるみ割り人形」を書いていなかったら、ジョン・ウィリアムズの「ヘドウィグのテーマ」が書かれることはなかったかも?
映画「リトル・マーメイド」の「パート・オブ・ユア・ワールド」はアラン・メンケンの作曲。「美女と野獣」や「アラジン」などで知られるディズニー映画には欠かすことのできない作曲家です。ブロードウェイのミュージカル出身の作曲家で、90年代以降のディズニーの音楽に黄金期をもたらした立役者といってよいでしょう。
映画「シング・フォー・ミー、ライル」の「Take A Look At Us Now」は、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールの作曲。パセック&ポールはミュージカル界の気鋭のコンビで、ミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」や「ラ・ラ・ランド」で知られています。
おしまいはジョン・ウィリアムズの「レイダース・マーチ」。まもなくシリーズ最新作の映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が公開されますが、シリーズ1作目の「インディ・ジョーンズ」公開時より、この曲は大評判を呼びました。この曲を聴くとテンションがあがりますよね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)