今週は葉加瀬太郎さんによる「題名プロ塾」第3弾の後編。先週の結果を受けて、大森駿音さん、佐伯ミッシェル藍さん、丸山怜子さんの3人の塾生が、葉加瀬さんの最終レッスンを受けました。曲はかつて葉加瀬太郎さんがセリーヌ・デュオンと共演した「トゥー・ラヴ・ユー・モア」。清水美依紗さんの歌との共演です。
葉加瀬さんが見たいポイントは「歌手を引き立てるオブリガート(歌やメロディを引き立てる対旋律)」と「自分が映えるオブリガート」。前に出すぎてもいけないけれども、歌手に隠れてしまってもいけないという難しさがあると思いますが、3人それぞれが個性豊かなヴァイオリンを披露してくれました。
最初の大森駿音さんは、しっとりとしたイントロからやさしく歌手に寄り添う様子が印象的でした。葉加瀬さんのアドバイスは、歌のオブリガートに「休み」を入れること。隙間がなかったんですね。アドバイスを受けて、格段に音楽の流れが自然になったように思います。
2番目の佐伯ミッシェル藍さんは、ヴァイオリンのつややかで深みのある音色が印象的。間奏のところがすごくカッコよかったですよね。葉加瀬さんのアドバイスは、休符の後、歌とハモるよりも同じ音のオクターブ上を弾いてサポートすること。これで歌が一段と映えるというのですが、実際に演奏を聴いてみると納得です。
3番目の丸山怜子さんはオリジナリティの感じられるアプローチで、クラシカルなテイストがとりこまれていて聴きごたえがありました。アドバイスを受けた後のイントロには、葉加瀬さんから「さっき僕が弾いたのよりいいんじゃない」という褒め言葉まで。
選考の結果、3人から選ばれたのは、佐伯ミッシェル藍さん。音楽はもちろんのこと、とても楽しんで弾いている姿にも魅了されました。これからの活躍が楽しみでなりません。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)