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ショパン国際ピアノコンクール第2位 反田&ガジェヴがコンクールの秘策を語る音楽会

投稿日:2022年08月20日 10:30

今週は先週に続いて、ショパン国際ピアノコンクール第2位の反田恭平さんとアレクサンダー・ガジェヴさんをお招きして、コンクールへの向き合い方について語っていただきました。
 おふたりに質問をぶつけたのは国際コンクールを目指す若い音楽家たち。コンクールの入賞者がこんなふうに率直に質問に答えてくれる機会は貴重です。コンクール本番直前の練習法について、反田さんとガジェヴさんはそれぞれ自分なりの方法を見つけているようでしたが、本番をフレッシュな気持ちで迎えるための工夫をしている点では一致していたと思います。反田さんは本番が近くなると弾く量をフェイドアウトすると言い、ガジェヴさんは一度も曲を聴いたことがないかのように頭の中を空っぽにして作品と向き合いたいと語ってくれました。
 反田さんとガジェヴさんの演奏もとても聴きごたえがありました。まず反田さんが演奏したのはショパンのワルツ第4番「華麗なるワルツ」。実際にコンクールの2次予選で演奏した曲です。曲名通り本当に華やかで、明瞭でエレガント、そしてチャーミングなショパンだったと思います。ガジェヴさんが弾いたのはマズルカ第35番。マズルカは本来ポーランドの民族舞踊ですが、この曲などは踊りの要素が希薄で、ノスタルジーや悲しみなどさまざまな感情が一曲の中に入り混じっています。こういった思索的な雰囲気を持った曲はガジェヴさんによく似合います。
 最後に反田さんが演奏してくれたのは、ブラームスの「6つのピアノ小品」作品118の第2番「間奏曲」。これはもう究極の名曲ですよね。ウィーンですでに大作曲家として名を成していたブラームスが、最晩年にさらなる高みに到達した傑作です。ショパンとはまた一味違ったノスタルジーやメランコリーが伝わってきたのではないでしょうか。ウィーンに拠点を移した反田さんが、また新たなステージへと進みつつあることを感じさせる名演だったと思います。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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