今週は本気でプロを目指す人のための「題名プロ塾」第2弾。前回、オーディションで合格した林周雅さんは、葉加瀬太郎さんのコンサートで無事デビューを果たし、その後も活躍の場を広げています。今回は新たに5人の受講生が集まりました。
1次審査前編では5人の受講生が課題曲「情熱大陸」に挑戦。葉加瀬さんのアドバイスを受ける前と後では、見違えるほど演奏が変わるのがおもしろかったですよね。ああ、音楽を教えるって、こういうことなんだな、と実感できたのではないでしょうか。5人ともしっかりした技術を持っていて、最初から個性を反映した演奏を披露してくれているのですが、それでも葉加瀬さんのわずかなアドバイスで、音楽がぐっと生き生きしたものに変化します。
葉加瀬さんが教えるのは「食べていけるためのヴァイオリンの弾き方」というだけあって、どれも実践的で具体的。そして、やはりポップスとクラシックのアプローチの違いが随所にあらわれていたように思います。
たとえば、加藤光貴さんには「オンビートに意識が行き過ぎている」。クラシックでは4拍子の1拍目と3拍目に意識が向きがちですが、葉加瀬さんは「2拍目と4拍目を感じるように」と教えます。これで演奏ががらりと変わりました。教えてもらったことを、すぐに実践できる応用力もすばらしいですよね。
嶋田雄紀さんには、Aメロの終わりでわずかに遅れるという指摘がありました。クラシックではフレーズの終わりにわずかな「タメ」を入れることで自然な呼吸が生まれることもありますが、ポップスではビートに乗るのが基本。葉加瀬さんのアドバイスを受けて、とてもグルーヴ感のある演奏になりました。
5人の受講生のバックボーンはまちまち。音大生、医大生、社会人と意外なほど多彩です。今回はいったいだれがオーディションを勝ち抜くのでしょうか。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)