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ジャズ界のレジェンドピアニスト・小曽根真 クラシック界の若き天才ピアニスト・藤田真央 夢の初共演の音楽会

投稿日:2021年04月17日 10:30

今週は小曽根真さんと藤田真央さんの夢の共演が実現しました。小曽根さんはジャズ界のレジェンド。藤田さんはチャイコフスキー国際コンクール第2位、クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝の俊英。ジャンルは違えども、ともに国際的に活躍するピアニストです。
 藤田さんが7歳のとき、クラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で初めて小曽根さんを聴いたというお話にはびっくり。近年の小曽根さんはクラシックの分野でも大活躍しています。小曽根さんがクラシックのオーケストラと共演した公演をこれまでに何度も聴いていますが、客席は常にわきあがります。クラシック音楽ファンにとっても小曽根さんは特別な何かを持ったピアニストなんですね。以前、アメリカからデトロイト交響楽団が来日した際、ソリストとして小曽根さんが共演したことがありました。オーケストラの音楽監督で世界的指揮者のレナード・スラットキンは「以前から小曽根のファンで、ニューヨークのブルーノートで何度も聴いている」と語っていて、小曽根さんの人気ぶりを痛感しました。
 小曽根さんのモーツァルトには、常に即興の要素があります。クラシックでは楽譜に忠実に弾くのが基本。しかし、モーツァルト本人は即興の名手だったはず。当時の演奏習慣として即興はごく一般的なものでした。名人の即興が楽譜に記録されて後世に残った、という作品も少なからずあることでしょう。そう考えると、小曽根さんがモーツァルトに即興を盛り込むのは不思議なことではありません。
 モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」では、小曽根さんと藤田真央さんの遊び心が爆発していました。最後にはふたりの完全な即興によるカデンツァ風の見せ場も登場して、まさに自由自在。即興部分から本来のモーツァルトに戻った瞬間のおふたりの表情が最高にすばらしかったですよね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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