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ウィーンの頂点の音楽会 2週連続スペシャル 後編

投稿日:2020年02月15日 10:30

今週は先週に引き続き、ウィーン・リング・アンサンブルの演奏をお届けしました。これぞ本場ウィーンの香り。ウィーン・フィルの名奏者たちが楽しい演奏を披露してくれました。
 一曲目の「ラデツキー行進曲」は、元日のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートで、アンコールの最後に演奏されるおなじみの名曲。指揮者が客席を向いて手拍子を促す演出がすっかり定着しています。ここ東京オペラシティ・コンサートホールでの収録でも、やはり客席がステージと一体となって手拍子を打ちました。手拍子を強く打つところ、そっと弱く打つところ、止めるところなど、その様子はウィーンでの公演とまったく同じ。こんなふうに手拍子の強弱まで細かく定まったのは、往年の名指揮者ロリン・マゼールがニューイヤーコンサートを指揮していた時代からだと思います。客席もいっしょに演奏しているような気分になれるのが楽しいんですよね。
 ウィーン・フィルは自分たちの伝統を大切にするオーケストラですので、楽員には親子二代にわたる奏者がたくさんいます。オーケストラの世界にもグローバル化の波が押し寄せる昨今、このようなオーケストラは稀有な存在です。ウィーン・フィルと双璧をなすベルリン・フィルなどは超多国籍集団で、ドイツ人楽員はほんのわずか。どこで生まれ、どこで学んだかはまったく関係ありません。それに比べると、ウィーン・フィルにはウィーンの流儀が生きていると感じます。
 キュッヒルさんは「ウィンナワルツはわたしたちの血の中に流れている」と言います。「美しく青きドナウ」はまさにそんなウィーンの音楽家にとって血肉化した名曲。こちらもウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートでは、必ずアンコールに演奏されます。小編成で演奏しても、情感豊かでロマンティックな味わいはオーケストラの演奏とまったく変わりません。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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