カンタービレ、つまり音楽用語で「歌うように」。「のだめカンタービレ」でこの言葉を知ったという方もいらっしゃることでしょう。今週はそんなカンタービレな名曲をたっぷりとお楽しみいただきました。
器楽曲であっても歌うように演奏するということは、ある意味で音楽の基本ともいえます。とりわけシューベルトなどは、歌心が求められる作曲家だといえるでしょう。シューベルトは31年の短い生涯の間に、およそ600曲ともいわれる膨大な歌曲を書いたことから「歌曲王」とも呼ばれています。「魔王」や「野ばら」といった名曲は、だれもが耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかも、シューベルトが名曲を残したのは歌曲の分野に留まりません。「未完成」や「グレイト」といった交響曲や、21曲のピアノ・ソナタ、さらに本日演奏された「ます」をはじめとする室内楽曲など、器楽曲にも数多くの傑作が残されています。そして、これらの名曲に共通する要素が歌謡性、すなわちカンタービレな音楽。「ます」のように歌曲を原曲とした作品に限らず、どの曲にも思わず口ずさみたくなるようなメロディが登場します。よくもこんなに美しいメロディが次々と書けるなと思うほど。やはり天才と呼ぶほかありません。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」も、シューベルトの「ます」と同様に、歌曲を原曲としています。こちらは「14の歌曲」作品34のなかの一曲。ロシアの名歌手アントニーナ・ネジダーノヴァに献呈されました。ネジダーノヴァはこの曲に歌詞がないことを残念がったといいます。しかし、ラフマニノフは「あなたは言葉がなくても、声と歌ですべてを表現できるのだから、歌詞は不要でしょう」と答えたのでした。
今日の横坂さんのチェロにも、そんな言葉を越えた歌心が感じられましたね。
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カンタービレの音楽会
投稿日:2017年06月04日 09:30
コメント
カンタービレ しっとりと堪能いたしました。「歌うように」楽器で表現するのは思ったより難しそうですが 若手演奏家の皆さん素敵に奏でていました。そして飯尾さんの解説にありましたラフマニノフの歌手への素敵な言葉 ヴォカリーズがますます好きになりました。