今週はベートーヴェンとシューマンによる2曲のヴァイオリン・ソナタを、それぞれ三浦文彰さん、五嶋龍さんのふたりのヴァイオリニストの演奏でお聴きいただきました。
「ソナタ」という言葉は、クラシック音楽の世界では最頻出ワードのひとつ。でもその意味はなかなか難しい! 同じ「ソナタ」という言葉でも、時代によって意味が違っていたりするので、わかりづらいんですよね。
ベートーヴェンやシューマンの時代では、「ソナタ」という言葉は、ヴァイオリン・ソナタとか、ピアノ・ソナタといったように、主にソナタ形式で書かれた多楽章の器楽曲に使われます。ソナタ形式については番組内でも説明がありましたが、典型的には提示部、展開部、再現部の3部構成からなる形式で、ときには冒頭に序奏が添えられたり(シューマンのソナタがそうでした)、末尾に終結部(コーダ)が付いたりします。このソナタ形式は古典派やロマン派の時代には大いに重用された形式で、実は交響曲や協奏曲でもこのソナタ形式が採用されています。
なぜ、そんな形式が必要なのか。作曲家は芸術家なんだから、既存の形式なんかに束縛されずに、思ったままに曲を書けばいいじゃないか。そんなふうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ヴァイオリン・ソナタや交響曲など、ある程度長さを持った楽曲は、いわば長編小説のようなもの。起承転結があります。定まった形式があると、聴く側はたとえその形式を意識せずに聴いているとしても(ふつうはそうだと思いますが)、音楽が持つストーリー性を耳で追いやすくなります。起承転結を伝えるための、ひとつの有力な方法がソナタ形式といえるのではないでしょうか。
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ヴァイオリン・ソナタの音楽会
投稿日:2016年08月28日 09:30
コメント
全てが丁寧に整えられて心のこもった音楽会でした。美しく張られた弦、その上を滑り出す弓、少しの迷いもなく奏でられるまっすぐに澄んだ音色。ヴァイオリンは本当に素敵ですね。華やかに響く龍さんのヴァイオリン、シューマンの心に寄り添って優しく美しい音色を響かせていましたね。感動して涙がこぼれました。素晴らしいヴァイオリン・ソナタをありがとうございます。なんて贅沢なんでしょう。でも、もっと近くで聴きたくなります。「龍さんのハンカチになりたい」そんな気持ちになりました。美しい音色や美しい自然や美しい心に触れるのは、この世の幸いですね。
豪華な音楽会でした。シューマンのソナタは初めて聴きましたが 他の楽章も聴いてみたいですね。素敵な企画ありがとうございました。
とても豪勢な30分間で、幸せでした。3月の徳永二男さんと、五嶋さん、三浦さんのトリオも贅沢でしたが、こんなふうに同じ楽器のトップクラスの人をダブル、トリプルで聴ける番組って他にないのでは。これからも楽しい企画を期待しています。
今回もすばらしかったです。三浦さんのベートーベンの春もすがすがしく心地よかったです。龍君のシューマンは繊細さを持つ龍君だからこその名演奏でした。すばらしかったです。
ありがとう!