暑い日が続くと、音楽も涼しげな曲を聴きたくなるもの。今週は「水を感じる音楽会」。音で水を感じさせるというとなんだか不思議な気もしますが、作曲家たちはさまざまな趣向を凝らして水を表現してきました。
冒頭で演奏されたヘンデルの「水上の音楽」は、水にまつわる名曲のなかでももっとも有名な曲のひとつ。イギリス国王ジョージ1世のテムズ川での舟遊びの際に演奏されたと伝えられています。いわば王侯貴族による優雅な18世紀版クルージング。生演奏でこんなに爽やかな音楽を演奏してもらえれば、気分は最高でしょう。隅田川あたりでも同じような舟遊びを企画してもらえないだろうかとつい思ってしまいますが、生演奏を望むのはぜいたくすぎるでしょうか。
イヴァノヴィチの「ドナウ川のさざ波」は学校で耳にしたという方も多いのでは。愁いを帯びた短調のワルツはいかにも東欧風。ゆったりとした川の流れを連想させます。
一方、純粋に水そのものを表現したのがラヴェルの「水の戯れ」。この曲はラヴェルの印象主義的な様式を確立した作品としてしばしば例に挙げられます。水そのものには形がありませんが、水が飛び散ったり、光を反射してきらめく様子がピアノによって描かれます。水滴のイメージと粒立ちが感じられるピアノの音色が見事に合致していて、ラヴェルの音色に対する鋭い感性が発揮されています。
スメタナの交響詩「モルダウ」は、祖国チェコの自然と伝説を音に紡いだ「わが祖国」と題された連作交響詩のなかの一曲です。当時、チェコはハプスブルク家が治めるオーストリア帝国のもとにありました。そんななかでわき起こったチェコの民族復興運動を反映して、祖国礼賛の音楽が生まれたのです。冒頭では山奥のどこかにある小さな源流が木管楽器で巧みに表現され、これらが合流してやがて大河へと育ってゆきます。雄大な情景から作曲者の郷土愛が伝わってきます。
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水を感じる音楽会
投稿日:2016年07月17日 09:43
コメント
暑い季節に嬉しい瑞々しい音楽会でした。私も、水を感じながら聴いてみました。あらためて音楽の表現力は素晴らしいなと思いました。素敵な名曲の数々をありがとうございます。
優雅な気分になれた音楽会でした 水の戯れ 一音一音丁寧に奏でられ 水の清らかさを感じました。世界有数の大河をタイトルに持つ選曲もとても良かったです。