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若き俊英たちの音楽会

投稿日:2016年07月10日 09:30

今、日本の音楽界からは若くて優秀なアーティストが次々と登場しています。今週の「若き俊英たちの音楽会」では、3組のアーティストがそれぞれの個性を発揮してくれました。
 ピアノの實川風(じつかわ・かおる)さんは昨年のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第3位(1位なし)に入賞した新鋭です。ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」、本当にすばらしい演奏でしたよね。細部まで彫琢された緻密な演奏でありながら、音楽全体に勢いが感じられる堂々たる本格派のベートーヴェンでした。
 実は収録より前に、東京・渋谷で實川風さんのリサイタルが開かれまして、そちらでも「ワルトシュタイン」が演奏されていました。プログラムにはほかにショパン、リスト、ドビュッシー、現代のピアニスト兼作曲家のヌーブルジェらの作品も並べられ、実に多彩。音楽的な視野の広さも感じさせます。将来が、というよりは、すでに次のリサイタルが楽しみなピアニストといってよいかもしれません。
 篠笛の佐藤和哉さんは、佐賀県の「唐津くんち」のお囃子が最初の笛との出会いだったそうです。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」主題歌のモチーフとなった佐藤さんの「さくら色のワルツ」には、日本人の琴線に触れるようなノスタルジックな手触りと、今風の洗練されたテイストがともに感じられたのではないでしょうか。
 驚きの打楽器アンサンブルを披露してくれたのは Ki-Do-Ai-Raku のみなさん。4人全員がスネアドラム(小太鼓)を叩くと聞いて、「うーん、なんだか変化に乏しい地味なアンサンブルになりそうだな」と思っていたら、まさかあんなにはじけたパフォーマンスを見せてくれるとは! スネアドラムにいろんな種類の奏法があるということにもびっくり。スネアドラムをササッと裏返す場面がありましたが、あんなふうに直接スネア(響き線)をスティックで叩くこともできるんですね。想像以上に表現力に富んだ楽器であることを再認識しました。

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