番組2500回記念シリーズの第3回は「祝典の音楽会」。今回の収録は赤坂のサントリーホールで行われました。今でこそクラシック音楽専用のコンサートホールは珍しくありませんが、その草分けが1986年に開館したサントリーホール。その響きの美しさは今でもトップレベルにあり、東京でもっとも盛んにオーケストラのコンサートが開催されているホールでもあります。節目を祝う「第九」にふさわしいコンサートホールといえるでしょう。
ベートーヴェンの「第九」初演は1824年のこと。初演は大成功を収めたものの、その後は決して盛んに演奏される作品ではありませんでした。むしろ長大で難解な曲として不人気だったといってもよいほどです。しかし、この曲に魅了されたのが少年時代のワーグナー。ワーグナーは「第九」を指揮する夢を抱き、やがてザクセン宮廷劇場の指揮者に就任した際、周囲の猛反対を押し切って「第九」を指揮し、公演を成功に導きました。ワーグナーは「第九」復活の立役者だったんですね。
その後、ワーグナーはバイロイト祝祭劇場の定礎式でもベートーヴェンの「第九」を指揮し、以来、現代に至るまで新しいホールのこけら落としや音楽祭のハイライトなど、特別な機会に「第九」が上演されるようになりました。日本では暮れの風物詩として独自の定着を果たしていますね。
今回は「第九」の第4楽章「歓喜の歌」に最先端のプロジェクション・マッピングが加わって、音楽的にも視覚的にもドラマティックな「第九」が実現しました。バート・クレサさんは、サントリーホールのパイプオルガンに着目して、オルガンの造形を生かしながら、そこに草木や蔓、花、ステンドグラス、オペラ劇場、抽象的な幾何学模様など、多彩なイメージを投影していました。音楽と映像が有機的に結び付いていたのではないでしょうか。
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2500回記念③祝典の音楽会
投稿日:2017年02月19日 09:30