世界中で日本のアニメが放送されるようになるとともに、アニメミュージックもまた大きな広がりを見せるようになりました。今週は「世界で愛されているアニメミュージックの音楽会」。アニメ・ファンならずとも、今のアニメミュージックの進化ぶりを感じられたのではないでしょうか。
ONE PIECEの「ウィーアー!」をはじめ、アニメ音楽のパイオニアとして数々の名曲を生み出してきた作曲家の田中公平さんが、最近のアニメミュージックの特徴をわかりやすく解説してくださいました。
田中さんの解説で特におもしろいなと思ったのは、菅野よう子さん作曲の「創聖のアクエリオン」について、教会旋法を活用しているというご指摘。ドビュッシーやストラヴィンスキーなど、フランス近代や20世紀の作曲家たちが新しい音楽を作り出そうとして教会旋法を用いましたが、同じようなことがアニメミュージックの世界でもあるんですね。教会旋法そのものは中世やルネサンス音楽で用いられたもので、私たちがふだんなじんでいる音楽よりもずっと古いわけですが、うんと古いものの探求から新しいものが生まれてくるのがおもしろいところです。
田中公平さんの解説でもう一点、目からうろこが落ちたのは「スタイリッシュな歌詞に下世話なメロディが組み合わされている」「長く聴かれるのはその下世話さも大切」というお話です。なにからなにまでスタイリッシュに作ってしまうと、長く聴かれるものにはならない、ベートーヴェンやモーツァルトだってスタイリッシュなサウンドに下世話なメロディを付けているとおっしゃるんですね。そういわれてみれば、決定的な名曲として長く残る作品は、どこかに下世話といいますか、ベタな魅力があるように思います。
今回はオーケストラに加えて、外囿祥一郎さんのユーフォニアム・ソロ、石川綾子さん、龍さんのヴァイオリン・ソロと、実にぜいたくな陣容でアニメミュージックを聴くことができました。この分野のさらなる可能性を感じます。
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世界で愛されているアニメミュージックの音楽会
投稿日:2016年05月08日 09:30